<メッセージと最近の活動から>


国際福祉機器展HCR2009
<2009年9月29-10月1日>
 今年は例年よりも遅い9月29〜10月1日に東京有明のビックサイトで国際福祉機器展(HCR2009)が開催されました。今年のテーマは「あきらめていたことを可能に」。障害者や高齢者には情報がないことで様々なことを諦めてしまいます。「障害児の変形」「脊髄損傷者や高齢者の褥瘡」「快適な車いす」「重度障害者の電動車いす操作」等々。障害児・者や高齢者に生じる様々な二次障害は予防・防止できること。褥瘡の予防や再発は可能なこと。重度な寝たきりの障害者も車いすで快適に活動できること。そのようなことを車いすシーティングの使用前後の写真で紹介し、ブースで実際に車いすやシーティングを体験していただき、セミナーやワークショップでお話ししました。
2009HCRアクセスブースspace2009HCRアクセススタッフ

 今年の特色はブースに於ける1日4回のプレゼンテーションでした。テーマは様々で、新製品の褥瘡予防クッションであるJ3クッション、新開発の座圧分布測定器コンフォーマックス、新製品の電動ポジショニング書車いすパルス6、新製品のスタンディング電動車いすC3、ヤマハと共同開発したクイッキー用のJWX-1、さらには障害児の成長と共に拡張できる成長対応拡張型車いすのジッピーIRISやジッピーTS、厚生労働省に座位保持装置完成用部品として認可されているシーティング製品、そして最近とても好評なコロプラスト社製のインコンチネンス・ケア(集尿関連)製品についてもご紹介しました。各プレゼンテーションともとても好評でした。
2009HCRブース大盛況space2009HCRプレゼンテーション

 そして今年もセミナーとワークショップを開催しました。初日29日には障害児向けの「障害児の変形防止のためのシーティング」、1日には高齢者向けに「車いすで床ずれを治す。予防、再発防止のためのシーティング」、30日には「立てない人を立ち上がらせるスタンディングの効用」についてお話ししました。シーティングについては私が講義を行い、スタンディングについてはスイスから来日したPTが担当しました。毎年多くの方に参加いただいて満員になっているセミナーなので、同様のテーマを最新の情報に更新した内容でお話ししました。高齢者向けのセミナーは今年も超満員。立ち見スペースもないほどになってしまいました。セミナールームに入れなかった皆様申し訳ありませんでした。来年はもっと大きな部屋でご提供できたらと願っています。
 今年はプレゼンテーションとシーティング体験によってアクセスインターナショナルのブースは最も賑わっていたブースだったと言っても過言でないでしょう。日本中から来場していただいた皆様ありがとうございました。
2009HCR障害児セミナーspace2009HCR高齢者セミナー



シーティング・クリニック in 愛知
<2009年9月19日>
 2ヶ月前に愛知県岡崎市の障害児のお母さんたちから依頼をいただいて障害児と家族のためのシーティングセミナーを開催しました。当日は筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さんと家族、そして学校の先生や病院・リハビリ関係者まで、岡崎市と名古屋市を中心に多くの方々が集まってくださいました。講義の後にモニターとして5人の方にシーティング体験やシーティングの調整を提供して、とても喜んでいただきました。その時に時間の都合でシーティング体験ができなかった方達やセミナーに参加できなかった方達からシーティングの依頼をいただき、中部地方の代理店であるアルテックブレースのシーティング事業部の場所を借りて出張シーティング・クリニックを提供することになりました。
2009愛知シーティング・クリニック1

 当初は数人からの依頼だったのですが、セミナーでシーティングを提供した方たちに姿勢の改善によって良い効果が現れたことが評判を呼んで希望者が増え、最終的には筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さん14名という大人数になりました。通常のシーティング・クリニックではひとり1時間半〜2時間をかけて行うのですが、今回は午前10時から午後6時の8時間。そこで社員2名と代理店のスタッフ数名の協力を得て流れ作業でシーティング・クリニックを行いました。
2009愛知シーティング・クリニック2spacespace2009愛知シーティング・クリニック3

 私がショールームの少し高くなった展示台の上に陣取り、シーティング希望者が家族と一緒に順番に台の上に上がっていただきます。担当のスタッフも2名付き添います。まず相談を受け、現在使用している車いすと座位保持装置での姿勢を評価。次にマットテーブルに移っていただいて臥位と座位の評価および採寸を行います。姿勢の改善のためのシーティングの指示をスタッフにして、台から降りた場所で車いすとシーティングの設定や調整を行います。私はその間に次のシーティング希望者に取りかかります。別のスタッフ2名と共に台に上がっていただき前者と同様の評価を行います。シーティングの設定や調整をしていた方の用意ができるとまた台の上に上がっていただき、姿勢とシーティングのチェックをして最終調整を行います。このような手順で8時間がんばってシーティングを提供。時間内に14名全員にシーティング体験をしていただくことができました。これはシーティングができるスタッフ7名の協力があってできたことです。当日は子供さんの担当のPTの方たちにも見学に来ていただきました。日常的に関わっている方の意見をお聞きすることができたのでベストな環境でシーティングを提供できたと喜んでいます。私が目指す「地元にシーティングを提供できる人のいる環境の実現」にかなり近づていると実感しました。
2009愛知シーティング・クリニック4spacespace2009愛知シーティング・クリニック5spacespace2009愛知シーティング・クリニック6

 シーティング・クリニックの後には嬉しい感想をたくさんいただきました。今回のクリニックでシーティングを初体験した方と前回のセミナー後にシーティングを搭載した新しい車いすを手に入れて、今回再調整した方の感想のいくつかをご紹介します。「座らせた瞬間に息子の表情が変わり、座っていて1時間経った頃に「あ〜楽」と息子が言ったのです。それまでは1時間も座っていることが辛かった息子がです。」「短い時間でしたが、息子の身体はみごとに前わんが改善され、いい姿勢で座れていました。」「シーティングでわが子の生活はガラッと変わり、現在はボッチャに打ち込み、先日は大阪の大会にも遠征していくほどになりました。」「新しい車いすに乗ったわが子はまるで別人のように生まれ変わりました。行きたいところに人の手を借りず行くことが出来る!スーパーでの買い物も一人でお菓子売り場や、ゲームコーナーに一直線・・・たったこれだけの当たり前の経験が今までは出来なかったのです。電動車いすの性能はもちろんですが、しっかりシーティングされたわが子は、安心してこの車いすに身体を預け、のびのびとイキイキと日々アクティブに変身していったのです。そして車いすマラソンでは断トツ一位で優勝したり、障害者スポーツのボッチャと出会い競技者として目覚しい成長を遂げました。」「骨盤や体をしっかり固定することが出来たため、一日中座っていても姿勢がほとんど崩れません。よって側彎もそれ以上の負担をかけることがなくなっているように感じます。」「また目から鱗の発見!が多々あり、大変勉強になりました。」「山崎氏の著書「運命じゃない!」を読んで理解していたつもりになっていましたが、実際にシーティングクリニックを受けて目からウロコが落ちた気分です。「百聞は一見にしかず」たくさんのお友達にお伝えしてみんなにも幸せになってもらいたいです。」「シーティングによって車いす生活が楽になり、人生を楽しく過ごせる方がどんどん増えていってほしいです。」
2009愛知シーティング・クリニック4spacespace2009愛知シーティング・クリニック5spacespace2009愛知シーティング・クリニック6

 1日に14人のシーティングをするという大変な1日でしたが、シーティング・クリニックを受けた皆さんに、姿勢の変化に驚いていただいたり、喜んでいただいたりして、とても充実した嬉しい1日でした。皆さんの笑顔で1日の疲れは吹っ飛んだという感じでした。このような大規模なシーティング・クリニックを東京以外で行うのは初めての経験でしたが、ぜひまた開催したいと思いました。参加者の方にも満足していただきましたが、代理店と弊社のスタッフにとっても良い経験になりました。依頼をいただければこのような出張シーティング・クリニックを全国で開催したいと思います。
   東京では障害児だけでなく、成人の障害者や高齢者の方のシーティング・クリニックも開催しています。痛み、変形、褥瘡などの二次障害、姿勢や車いすについて悩んでいる方は、ぜひ一度無料のシーティング相談・体験会であるシーティング・クリニックを体験してみてください。
 シーティング・クリニックのお申し込みはメールでご相談いただくか、私の会社のホームページからシーティング・クリニック依頼フォームを記入して送付していただきます。現在の車いす上での姿勢や状態について理解するために写真もお送りいただくことがあります。シーティング・クリニックのご依頼はこちらからどうぞ。
2009愛知シーティング・クリニック2spacespace2009愛知シーティング・クリニック3




三重県と愛知県の特別支援学校で障害児セミナー
<2009年8月31日、10月6日>
 静岡県の特別支援学校に続き、三重県の城山特別支援学校 草の実分校からも障害児と家族と先生のためのシーティングセミナーを依頼していただきました。このセミナーのきっかけも私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」でした。出版した本の影響の大きさに驚くともに感激しています。
2009草の実分校セミナーの様子

 当日は午後に2時間半のセミナー(講義)だけをする予定でしたが、シーティング体験の依頼を3名の方からいただき、講義の時間を変更することができなかったので変則的にシーティング体験を午前中のセミナーの前に提供しました。
 1人目の体験希望者は自操可能な女子生徒。側彎がありましたが、マットテーブルで評価してみると骨盤の傾きを戻すことができたので、同様に設定した車いすでシーティング後の姿勢を体験していただきました。2人目はさらに側彎の進んだ男子生徒。コルセットを着用していましたが、マットテーブルで評価してみると可動性がまだ残されていたので、コルセットを外して車いすでシーティングを提供しました。適切なシーティングとラテラルサポートによる保持はコルセットの替わりにもなることを体験していただきました。3人目は体と頭が片側に倒れて、筋緊張がとても強いお子さんでしたが、シーティングとポジショニング・ベルトによって緊張が緩和し、倒れる頭も保持することができました。姿勢の変化に皆さん驚かれていました。
2009草の実・モニターシーティング使用前後

 午後1時半からのセミナーには教員の皆さんと障害のある生徒と保護者を中心に、城山特別支援学校草の本校や近隣のリハセンターからも参加していただきました。愛知県からも参加していただき、大勢の方の前でお話しすることができて嬉しかったです。セミナーでは途中に休憩を挟みながら姿勢とシーティングについてお話ししました。内容は、重力と姿勢の関係、二次障害の防止に必要なこと、車いすの設定による姿勢への影響、クッションや座位保持装置の素材の影響、ずり落ちた姿勢の原因・問題と改善方法、片側に傾く姿勢の原因・問題と改善方法、拘縮への対応、重度な障害への対応。最後に二次サポートについてお話ししました。ポジショニング・ベルトの活用と筋緊張の緩和、そしてヘッドサポートによる頭部の保持です。長時間の講義でしたが皆さん熱心に最後まで聴いてくださいました。セミナー後にはシーティング体験の依頼が集まり、時間の許す限りシーティングを提供しましたが、なんと新幹線の時間に間に合わなくなって時間を変更して東京に帰りました。でも多くの方達に喜んでいただけたので、それに見合うだけの価値があったと嬉しく思っています。三重県でもシーティングが拡がって二次障害が防止できるようになり、残存機能の発揮が可能になればと願っています。
2009草の実セミナー講義spacespace2009草の実セミナーデモンストレーション

 三重県でのセミナーの約1ヶ月後に愛知県豊田市の豊田養護学校から依頼をいただき、シーティングの講演をしました。この依頼は参観日の午後の時間を使って保護者の方達に姿勢とシーティングのお話を聞いていただくというものでした。1時間半という短い時間だったので、技術的なことは省略して、二次障害の原因となる姿勢の考え方とシーティングによって何が可能になるかについてお話ししました。皆さんとても熱心に聴いてくださいました。私が悪い姿勢について話す度にうなづいている保護者の方がとても多く、皆さんご自分のお子さんと重ねて私の話を聞いてくださったようです。
 講演が終了すると、参加者の方達から子供さんの姿勢を見てほしいとの依頼が届きました。私は車いすがないので完全なシーティング体験はできないが、姿勢の相談を受け、現在使用している車いす上でどのような保持をすれば姿勢の改善ができるかを見せることはできると答えました。最初は2〜3名依頼でしたが、私が両手を使って保持することで姿勢が改善されるのを見た方たちから「私も」「私も」と依頼が増え、最終的には十数名の方のシーティングの相談に乗り、姿勢の改善を見せることができました。残念だったのは、1名だけ変形が完全に固定されていて矯正が不可能だったことです。可動性が全くなくなってしまうと、悪化の防止はできますが、姿勢の改善は困難になります。体を動かしていれば可動性は失われません。運動やリハビリの大切さについてぜひ理解していただきたいです。
2009豊田養護学校講演




ロータリークラブで車いすの可能性について講演
<2009年9月3日、6月3日>
 王子ロータリークラブのメンバーである医師の先生から依頼をいただいて、ロータリークラブの例会で卓話と呼ばれる講演をすることになりました。「車いすの話」というご依頼だったのですが、通常のセミナーや講習会でお話ししている内容は専門的過ぎる上、卓話は30分という時間制限があるため講演の用意にかなり苦労しました。色々と考えた結果、「車いすの可能性」というテーマで、サブタイトルの「車いすになっても快適で楽しく自由な生活は可能です。」ということを伝えるプレゼンテーションを作りました。
 年配の方や高齢の方には、車いすに対して悪いイメージを持っている方が多く、「車いすなんかになったらおしまいだ」と思われている方がとても多いのです。その結果、高齢になって足腰が弱くなったり脳卒中等で歩く事が難しくなったりしても車いすに乗るのをこばみ続けてしまいます。しかし無理をして歩くことで転倒して骨折する方はとても多く、入院から寝たきりになったり、認知症のきっかけになってしまうことも多いのです。
 私が出張でよく行くアメリカやカナダでは、高齢の方や歩行可能な障害者の方が車いすを上手に利用しています。空港で、ショッピングセンターで、レストランで、講演で、そして様々な目的のための外出時に。電動車いすやスクーターもよく利用されています。そして皆さん人生をとても楽しんでいるのです。「別に五体満足な人を真似しなくても、やりたいことが楽にできる方が良い」という考えです。
 今回の講演では、過去にシーティングでお手伝いした高齢者と障害者の多くの成功例をお見せして、車いすでも快適に楽しく過ごすことができること、車いすを使用するのは悪いことではないこと、そして一般的にはあまり知られていない車いすの様々な可能性についてお話ししました。30分の時間だったので、かなり早口で話してしまいましたが、メンバーの皆様からはとても良い反響をいただきました。
 
2009王子RC卓話1spacespace2009王子RC卓話2

 さらにゲストとして例会に参加されていた日暮里のリバーサイド・ロータリークラブの方から依頼をいただき、3ヶ月後の9月3日の例会でお話しさせていただきました。こちらの例会でもメンバーの方々は講演をとても良く受け止めていただきました。今回の経験から、車いすや障害者と関係ないと思われがちな皆様にお話しすることも大切だと再認識しました。講演の後に話しかけていただいたメンバーの中にはご家族に障害児や障害者、そして高齢者がいらっしゃる方も少なくなかったです。実際にメンバーの方の高齢のお母様の車いすのお手伝いをする機会もいただきました。そのご家族には、姿勢が改善され、離床時間が延びたことをとても喜んでいただけて嬉しかったです。
 今回のような講演にご興味のある方はぜひご依頼ください。車いすの可能性について知っていただくことで、万が一ご家族やご自身が車いすになられても怖くないと思います。
2009リバーサイドRC卓話



シーティング・クリニック大盛況!
<2009年8月〜9月〜>
 以前から東京と大阪で開催している無料のシーティング体験・相談会であるシーティング・クリニックですが、昨年5月に私が書いた障害児の家族向けの本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」が出版され、今年6月末に全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会から依頼を受けて書いた障害児の姿勢に関する記事が掲載されている「アイムファイン」が発売されてから、シーティング・クリニックの依頼が急増しています。記事のタイトルである「変形・脱臼・拘縮・異常な筋緊張などを障害児だからとあきらめていませんか?あきらめる前に、できることはまだたくさんあります。シーティングはその方法のひとつです。」というメッセージが多くの皆様に伝わってとても嬉しいです。クリニックの依頼は関東・関西に留まらず、東海地方、そして四国・中国地方・九州からおいでいただいた方もいらっしゃいます。大感激です!特にこの8月〜9月は障害を持ったお子さんのシーティング・クリニックのラッシュでした。多い時には1日3人。そのような日が毎日続く週もありました。
 これからシーティング・クリニックを利用される方も多いと思いますので、この機会にシーティング・クリニックでどんなことをするかを説明させていただきます。
 
シーティング・クリニックの概要
 シーティング・クリニックは、私の会社のホームページから依頼していただき、メールや電話で日時を決定します。一般的にはご本人とご家族に来社していだきますが、学校の先生やPT,OT等の担当者の方が一緒に来社されることもあります。  まず最初にお話を伺います。困っていることや抱えている問題、そして将来の目的などについてお話していただき、必要であれば姿勢保持や車いすそしてシーティングなどについての情報や知識を提供します。  次に現在使用されている車いす上での姿勢をチェックします。現在、どのような車いす・クッション・座位保持装置などに、どのような状態で座っているのかを調べ、座位姿勢についても評価します。
2009シーティングクリニック車いすでの評価spacespace2009シーティングクリニック・マット評価(仰臥位)

 次にマットテーブルに移っていただき、仰臥位(仰向けに寝た状態)での評価を行います。股関節・膝関節・足関節の可動域のチェックや骨盤の傾き、側彎や円背などの状態についても評価します。同時に採寸を行い、スタッフが車いすとシーティング・システムを設定し始めます。
 次にマットテーブル上での座位の評価を行います。身体を支えながら座っていただき、骨盤の傾きや背骨の状態、側彎・円背・変形・拘縮・脱臼などについての評価を行います。その時に車いすとシーティング・システムに必要な姿勢保持用のパーツを試して、実際に使用するものを決定します。
2009シーティング・クリニック・マット評価(座位)spacespace2009シーティングクリニック最終調整

 設定が終わったところで、車いすに移っていただき、ベルトの位置、ラテラルサポートやヘッドレストの位置や高さと角度、変形や拘縮への対応などについての調整を行います。設定が終わったら、シーティング後の姿勢について評価します。機能性の評価をしながらさらに微調整を行ってシーティング・クリニックは終了です。シーティング・クリニックの所要時間は、体の状態によって異なりますが、通常1時間半〜2時間かけて丁寧に行っています。
 シーティングを体験した皆様は姿勢や表情の変化に驚き、たいへん喜んでいただきます。今までは考えてもいなかったような良い姿勢で座れたり、倒れなくなったり、筋緊張が緩和されたり、表情が大きく変化したり、車いすがこげるようになったり、機能性が向上したり、個人によって様々ですが、多くの良い変化が現れています。遠くからおいでいただいた方にも喜んでいただけて良かったです。  この記事の写真は9月にシーティング・クリニックでシーティング体験をされたご家族に協力していただきました。ご両親にはお嬢さんの姿勢の変化にとても喜んでいただきました。
  シーティング・クリニック直後にも様々な変化が現れますが、私がもっと楽しみにしているのは使い始めたあとです。多くの場合、姿勢の改善によって様々な良い変化が現れますが、脳性麻痺のお子さんなどには自分の意志で動かせる体の部位(頭・手・腕・足など)が現れたり増えるなど、機能性の向上がよく見られます。我々の目的はシーティングによって二次障害を防止すると共に、残存機能を最大限に発揮できるようにして作業や活動に繋げることです。
2009シーティングクリニック体験者・シーティング前矢印2009シーティングクリニック体験者・シーティング後

 シーティング・クリニックを受ける方が遠隔地にお住まいの場合、地元で車いすを担当している方や車いす業社の方と一緒に来社いただいてシーティング・クリニックを受けていただくこともあります。車いすを製作する方にも理解いただくことで、クリニックで設定したものと同様の車いすとシーティングを提供できるのです。
 これまでにも東京の他に大阪や名古屋に出張してシーティング・クリニックを提供したこともあります。弊社の社員や代理店の担当者にはシーティングが提供できる者も多いので、彼らが対応するのであればこちらから伺ってシーティングの体験をさせていただきますが、私によるシーティングをご希望の方はご依頼ください。東京では障害児だけでなく、成人の障害者の方や高齢者の方もシーティング・クリニックでシーティングを体験していただき、とても喜んでいただきました。姿勢や車いすについて悩んでいる方はぜひ一度シーティング・クリニックを体験してみてください。
 シーティング・クリニックのお申し込みはメールでご相談いただくか、私の会社のホームページからシーティング・クリニック依頼フォームを記入して送付していただきます。現在の車いす上での姿勢や状態について理解するために写真もお送りいただくことがあります。シーティング・クリニックのご依頼はこちらからどうぞ。



静岡県立東部特別支援学校で障害児セミナー
<2009年7月30日>
 静岡県の伊豆の国市にある東部特別支援学校で障害児と家族と先生のためのシーティングセミナーを開催していただきました。このセミナーのきっかけは、生徒のお母さんが私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を読んでくださって学校の先生に紹介し、先生方や保護者の方達が読んでくださったことで今回の依頼をいただいたのです。感激でした。
 当日は先生達と保護者の方達、そして伊豆半島の他の特別支援学校4校からも参加者が集まってくたさいました。さらに私が「アイムファイン」に書いた記事を読んで、私のホームページからセミナーを知った方が沼津市や浜松市からも参加していただいてとても嬉しかったです。
 セミナーでは、午前9時半から12時半まで、途中に休憩を挟みながら姿勢とシーティングについて詳しくお話ししました。内容は、重力と姿勢の関係、二次障害の防止に必要なこと、車いすの設定による姿勢への影響、クッションや座位保持装置の素材の影響、ずり落ちた姿勢の原因・問題と改善方法、片側に傾く姿勢の原因・問題と改善方法、拘縮への対応、重度な障害への対応、ポジショニング・ベルトの活用と筋緊張の緩和、ヘッドサポートの活用などです。長時間の講義でしたが皆さん熱心に最後まで聴いてくださいました。
 
2009静岡東部支援校セミナー講義1spacespace2009静岡東部支援校セミナー講義2

 昼食を挟んで午後からはシーティング体験を希望された障害のある生徒さんに実際にシーティングを提供しましたが、その前の昼休みにも外部から参加された方のご依頼で予定していなかったシーティング体験を提供しました。就学前のお子さんでしたが、姿勢が改善し、以前よりもティルトの角度を起こせるようになり、首が安定して自分で見回せるようになり、お母さんにはとても喜んでいただけて嬉しかったです。
   午後1時半から、シーティング体験を希望された生徒さん4名にシーティング体験を提供。最初のお子さんはかなり変形が進行し、側彎や拘縮もあって、顔が左に倒れる傾向がありましたが、シーティング後は姿勢が改善され前を向くことができるようになり、お母さんと担当の先生に喜んでいただきました。二人目のお子さんも重度で、側彎に加えて背面に大きな変形があり、顔が右を向いてしまっていて辛そうな姿勢をとってしました。シーティングによって姿勢を改善でき、前を向けるようになって快適そうでした。ご両親にとても喜んでいただいて嬉しかったです。
  
2009静岡東部支援校セミナー講義3spacespace2009静岡東部支援校セミナー4

 3人目のお子さんは、背中の円背傾向がとても強く側彎もあるので、前と横に倒れやすく、頭は前に落ちてしまっていましたが、シーティング後はとても良い姿勢で座っていただくことが可能でした。 四人目のお子さんは姿勢が安定せず、頭と体が前に倒れる傾向がありましたが、姿勢を改善することができました。しかしこれまでの姿勢の影響が強くて、姿勢の改善後も頭だけが前に倒れる傾向があったので、前頭部サポートを使用して頭を支えられることをお見せしました。シーティングでは、それまでの悪い姿勢の影響やくせを直すために一定の期間に体幹ベルトや前頭部/側頭部保持を提供することもよくあります。
 その後、飛び入りで1名、とても強い筋緊張で困っている生徒さんのシーティングをすることになりました。座面・背面・足部・頭部など全てのシーティングの設定と調整をしてから骨盤ベルトで骨盤を保持すると筋緊張を緩和することができ、見学していた皆さんは緊張がとれたことにとても驚かれていました。適切なベルトと締める角度によって筋緊張の緩和は可能なのです。
 
2009静岡東部支援校シーティング実演spacespace2009静岡東部支援校シーティング実演(マット評価)

 午後3時半終了予定を1時間以上延長することになってしまいましたが、最後まで残ってくださった方も多く、とても充実した一日でした。講義の部では多くの先生達と保護者の方々に姿勢や二次障害、悪い姿勢の影響と改善方法について知っていただき、シーティング体験(実演)の部では実際に姿勢の改善が可能なことを見ていただくことができました。とても有意義なセミナーを提供することができ、とても満足した嬉しい気持ちで東京まで運転して帰りました。
 障害児と毎日関わる家族と学校の先生に、どのような姿勢がどのような悪影響を体に及ぼすか知っていただくことができ、その防止方法についても理解していただいたので、こどもたちの姿勢が変わって行くと実感できました。すでに他の多くの特別支援学校からもセミナー依頼が届いていますが、可能な限り多くの方に姿勢についての正しい知識を伝えていきたいと思っています。
 
2009静岡東部支援校シーティング実演(車いす評価)spacespace2009静岡東部支援校シーティング実演(相談や質問)




愛知県岡崎市で障害児と家族のためのセミナー
<2009年7月26日>
 愛知県岡崎市の障害児のお母さんたちから依頼をいただいて障害児と家族のためのシーティングセミナーを開催しました。当日は筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さんと家族、そして学校の先生や病院・リハビリ関係者まで、岡崎市と名古屋市を中心に多くの方々が集まってくださいました。さらに「アイムファイン」の記事を読んで、私のホームページからセミナーについて知った方が浜松市などからも参加していただいて感激でした。
 セミナーでは、午前9時半からお昼まで休憩をとりながら姿勢とシーティングについてお話ししました。重力と姿勢の関係など、初めて知る情報も多かったようで、皆さん熱心に聴いてくださいました。昼食を挟んで午後にはモニターを希望された障害のあるお子さん5人に実際にシーティングを提供し、シーティングによる姿勢の改善についてお見せしました。倒れていた姿勢が改善された方、筋緊張で上がっていた足がフットレストに降りた方、痛みが軽減された方、自操できるようになった方、皆さん姿勢や機能性の変化を実感していただけて嬉しかったです。
 障害を持つお子さんの家族や学校の先生のように毎日関わる方々が、何気なくとらせていた姿勢が、実は体に有害な姿勢だったり、諦めていたことが可能だったり、色々なことに気付いていただけたセミナーだったと思います。セミナーをする度に、まだまだ姿勢に関する正しい情報が障害児・者に関わるすべての方達に伝わっていないのを実感します。これからも可能なかぎり多くのセミナーやシーティング体験を全国で提供して理解を深め、車いすを使用する方の二次障害の防止と機能性の向上に努めていきたいです。

2009岡崎セミナー講義1spacespace2009岡崎セミナー講義2




からだに障害を持ったお子さんのご家族や関係者の方へのメッセージ
<2009年6月22日>
 2007年に全国肢体不自由児特別支援学校PTA連合会(通称全肢P連)から依頼をいただいて、東京で開催された中央研修会で講演させていただいたことがありましたが、今年また新たなご依頼をいただき、全肢P連の会報にシーティングについての記事を書かせていただきました。
 3ページの記事なので、シーティング技術についてはあまり詳しくお話しできないと思い、シーティングをご存じない方へのイントロダクションとして記事を書かせていただきました。タイトルは「変形・脱臼・拘縮・異常な筋緊張などを障害児だからとあきらめていませんか?あきらめる前にできることはまだたくさんあります。シーティングはその方法のひとつです」。「シーティングで何ができるか」を中心にいくつかの成功例についてもお話ししています。
 この記事を読んでシーティングや姿勢保持に興味を持っていただいた方が、セミナーに参加したり、昨年発行した私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を読んでいただいて、お子さんの姿勢に関する問題や二次障害の予防や悪化防止に繋げていただいたり、残存機能が最大限に発揮できるようになればと願っています。
 全肢P連の会報は、25号からアイムファインという障害者向けのフリーペーパー(全国誌)と統合され、全国の特別支援学校に配布されることになりました。私の記事の掲載された第26号は6月22日に発行になり、30日に全肢P連加盟の特別支援学校と定期購読者に配布されました。アイムファインの情報や定期購読についてはこちらからどうぞ。
I'm Fine 26号
キッズフェスタ2009
<2009年4月25-26日>
 今年も障害児とその家族のための福祉用具展であるキッズフェスタ、正式名称「キッズフェスタ アンダー18・第8回こどもの福祉用具展2009に参加しました。会場は今年もTRC東京流通センターでしたが、昨年よりも大きな1階の第2展示場 Eホールを使って開催されました。
 今年もアクセスインターナショナルとしてブースを出展し、新しい車いす、シーティング用の製品、シーティング付きバギー、スタンディング製品、様々なポジショニング・ベルト類や頭部サポート製品、そしてコミュニケーション機器やコンピュータを操作するための機器、環境制御装置などを展示し、多くの方に体験していただきました。初日は大雨だったにもかかわらず、とても多くの方にブースに来ていただき嬉しかったです。

2009キッズフェスタ・ブースの様子1spacespace2009キッズフェスタ・ブースの様子2

 昨年たいへん好評だったシーティング体験を今年も行いましたが、3人で別々に対応しても一日中絶える間がないほど多くの方に来場していただきました。皆さんシーティング後の姿勢の変化にとても驚いて、喜んでいただきました。昨年のキッズフェスタでシーティングを初体験して、既にシーティングを使用されている方も多く来場していただきました。そのような方にはシーティングの再調節を提供したり、コンピュータやコミュニケーション機器を体験していただいたりました。できなかったことが、姿勢の改善によってできるようになり、可能性が広がっていくのを一緒に実感させていただけるのはとても嬉しいです。今後もこのような感動をもっと多くの皆様に体験していただきたいです。
 シーティング体験はいつでも受付いますので、お気軽にお問い合わせください。メールでのお申し込みはこちらからどうぞ。(下の写真は、昨年シーティングを試されたお子さんのシーティング前後と一年後の写真です。)

モニターのお子さんのシーティング使用前後



ISS2009・国際シーティング・シンポジウム
<2009年3月12-14日+3月11日>
 久しぶりに米国で開催された国際シーティング・シンポジウム(ISS)に参加して勉強してきました。2005年まで毎年参加していたISSですが、2006年の膀胱癌の手術後に右手の麻痺など様々な問題が起こってしまい、海外に勉強に行けない状況が続いていました。やっと全ての問題を解決することができ、体調も回復したので、今回4年ぶりに参加することができました。その間も米国やカナダからセラピストを招いて日本で勉強会を開催していましたが、久しぶりに思いっきりシーティングの勉強をすることができ、とても有意義な4日間でした。
 今回のISSは第25回の記念大会でした。第一回は1983年だったそうで、2回目が2年後に開催されたので実際には26年目になります。25周年記念パーティではその26年間の歴史のスライドが上映され、私自身もとても懐かしく拝見しました。私がシーティングセミナーを初めて日本で開催したのが1993年3月なので、北米でシーティングが普及しだして10年目から日本に紹介していることになります。最近では日本でも市民権を得てきたシーティング。これからも更なる普及のために、更なる勉強を続けて活動していきたいです。
 いつものようにISSでは朝から晩まで様々な講習が行われ、シーティング関連製品の展示会も同時開催されました。シンポジウムの前日に開催されたプレ・シンポジウムに参加しました。私が選んだクラスは「上級者向け障害児シーティング〜機能性の向上に向けて」朝8時から8時間のクラスで、午前中には医学・解剖学的な面からの講習を行い、午後にはシーティングの技術的なアブローチと数人の症例による実例の紹介がありました。今までに学んだことを再確認すると共に新たな情報や知識も多く得ることができました。しかし症例に関しては私自身も負けていないとちょっと自負してしまいました。写真は講習の様子(左)とシンポジウム初日のオープニング(開会)セッションの様子(右)です。
2009-ISS-プレシンポジウムspacespacespace2009-ISS-オープニングセッション

 シンポジウムでも朝から晩まで講習でした。私が受講したクラスは「体の形状に合わせたコントゥアシーティングのカスタム化」「シーティングの座面と背面と使用者の関係」「外傷性脳障害のシーティング」「施設での現実的な抑制帯の使用」「車いす使用者の呼吸と嚥下問題への対応」「二次障害防止のための障害者・再評価・再リハビリプログラム」「脳性麻痺とジストニアの難しいシーティングへの対応」。さらに講演やフォーラムもありました。ISSの問題は、ひとつの時間帯に対して受講したいクラスを4〜8のクラスから選択しなければならないこと。魅力的なコースが多く、選ぶのが大変です。さらに私のようにフルで講習を受講すると、同時に開催されているシーティング機器展に費やす時間がとても少なくなってしまうことです。私の場合、取引先との会議や商品トレーニングも予定されていたので、車いすクッションのクラスの受講を止めて時間を作ったほどでした。しかしシーティング機器の方も新製品がたくさんあって、今後日本に紹介するのが楽しみです。
 今回のISSでは多くの友人のセラピストと再会することができたのも嬉しい出来事でした。私のシーティングの恩師でもあり、1993年からの3年間と1997年に日本へのシーティングの普及のために計26回のセミナーを私と一緒にしてくださったジョーンさん(写真)との再会では大感激。やはり私のシーティングの先生であり、日本にもお招きしたこともあるシャロンさんやブレンリーさん。今回も彼女たちの講習に参加させていただきましたが、レベルの高いシーティング・スペシャリストの方達からお話を伺うのはいつもとても有益です。その他にも著名なセラピストのキャリー、ジーン、ディビッド等々とも再会。友人としても楽しく嬉しい再会でした。また彼女たちを日本に招いてセミナーを提供し、日本のセラピストの方々に情報を伝えてほしいです。
恩師で友人のシーティング・スペシャリスト・ジョーンさん

ISS2009・国際シーティング・シンポジウム その2
<2009年3月12-14日>
 今回のISSで講習会の他に印象に残ったイベントがあったのでご紹介します。それは国際シーティング・シンポジウム25周年記念パーティとクロージング(閉会)セッションでのスピーチでした。最終日前夜に開かれたパーティではISSの26年の歩みについてスライドが上映され、参加者はみんな懐かしく思い出しながら食事とお酒を楽しみました。宴もたけなわになり、そしてパーティのゲストとして登場したのがスタンダップ・コメディアンのジョッシュ・ブルーさん。元々コメディやお笑いは大好きな私はとても楽しみにしていたのですが、なんとジョッシュはCP(脳性麻痺)の青年だったのです。しかし彼は障害者だからこのイベントに呼ばれたのではなく、有名なコメディの勝ち抜き番組の優勝者で、北米では有名なコメディアンだそうです。彼のステージをすぐ前のテーブルで観ていた私でしたが、アメリカ人の友人と共に最初から最後まで大笑い。1時間近くも涙を流して笑ってしまいました。今回は観客がみんな障害者関係者だったので、いつもよりも障害者ネタ全開。それもツボに入ったのでしょう。大ファンになったのでジョッシュさんのDVDも購入しました。英語が解る方はぜひJosh BlueさんのDVDを観てください。超お薦めです。
CPのスタンダップ・コメディアンのジョッシュ・ブルーspacespaceジョッシュとの記念写真

 さらに心に深く印象に残ったのは最終日のクロージング(閉会)セッションでのスピーチ。例年はセラピストや学者のスピーチが多く、それも素晴らしいのですが、今回は特別でした。「障害者支援技術とともに生きる(Living with Assistive Technology)」と題された講演は、重度の脳性麻痺で四肢麻痺・口話も不可能なフェイ・ワーレンさんと彼女に関わった人達による共同講演でした。まずはお母さんがフェイさんの生い立ちからこれまでについて説明。次にシーティング・スペシャリストのPTとリハブ・テクニシャンが彼女のシーティングと車いす操作について説明。次に担当医師が彼女の側彎の手術について説明。そして担当のSTがフェイさんのコミュニケーション方法の変化や機器について説明。最後にフェイさん自身がコミュニケーション機器を駆使して用意したスピーチを自分のタイミングで進めながら講演を行いました。現在は大学を卒業して全国で講演も行っているそうです。ちょうどシーティングの歴史と共に歩んできたようなフェイさんの人生。彼女とお母さん、そして関係者の皆さんに参加者からはスタンディング・オベーションでした。自立のための支援にはチームワークが不可欠なことも再確認できました。
   素晴らしい講演で締めくくられた25周年記念の国際シーティング・シンポジウム。参加することができて本当によかったです。これからも可能な限り毎年参加して知識と情報を得て日本に紹介していきたいです。
(写真はクロージング(閉会)セッションの様子、そしてフェイさん親子と関係者の方達です。)

2009-ISS-クロージング講演spacespace2009-ISS-クロージング講演者の方々




東京と茨城で障害児セミナー
<2009年3月8日,22日>
 東京と茨城で違ったタイプの障害児セミナーを開催しました。東京のセミナーは東村山市の重度障害児(者)の家族の会から依頼をいただいた障害児(者)と家族のためのセミナーです。日曜日の午後1時から一時間半ほど姿勢とシーティングについてお話しした後、休憩を挟んで、参加された障害のある方々に実際のシーティングを提供し、シーティングによる姿勢の改善についてお見せしました。参加された方々は、初めて聞く重力と姿勢の関係や、二次障害の防止、そしてシーティングによる姿勢の改善の話と実演に驚かれていました。今後に役立つセミナーが提供できて良かったです。
2009あゆみの会セミナー

 22日のセミナーは、茨城の代理店の主催によるにとPT,OTを中心としてセミナーでした。障害児のシーティングを中心とした総合セミナーという形で、午前2時間、午後3時間を使って、重力の姿勢への影響、二次障害とその予防と悪化の防止、骨盤の傾きと姿勢の関係、シーティングによる姿勢の改善、重度な障害や変形・拘縮・脱臼・筋緊張への対応などについてお話しし、製品を使ってクッションと場付くサポートの活用、ラテラルサポートの使用方法、ポジショニング・ベルトの活用、頭部保持のためのヘッドサポートの活用について説明しました。参加者の方々にはセミナーの内容に満足していただきましたが、このセミナーが「障害児向け」として参加者を募集したのにも関わらず、高齢者関係のPT,OTな方も何人か参加されていたので、茨城での高齢者向けのセミナーの必要性も感じました。
 シーティングの基本は障害児も高齢者も同じですが、障害児(者)には特に座位保持と変形防止についての内容が求められ、高齢者には離床時間の延長と褥瘡予防・再発防止に興味が集まります。対象者も障害児は脳性麻痺の方が中心、高齢者は脳卒中の方が中心なので対応が異なります。今後も皆さんの異なったニーズに合ったセミナーを提供して、実際に問題解決に役立ち、効果を実感していただける情報や技術をお伝えていきたいです。
2009茨城障害児セミナー



仙台セミナー、茨城研修会、埼玉講習会、嬉しい再会
<2009年2月21,24,28日>
 2月21日に仙台で数年ぶりとなるシーティング総合セミナーを開催しました。当日は高齢者関係のPT,OT,介護関係者を中心に多くの方に集まっていただきました。宮城県だけでなく、秋田、岩手、山形、福島、そして長野からも参加いただき感激でした。朝10:00から午後4:00までという長時間でしたが、皆さん熱心に講義を聴いていただいて、嬉しかったです。一昨年から一緒に活動せていただいている岩手県のようにシーティングが普及する県が増えることを願って、今後もお手伝いしていきたいです。
 
2009仙台総合セミナー1spacespacespace2009仙台総合セミナー2

 24日には茨城県の牛久愛和総合病院の褥瘡委員会からご依頼いただき、医師と看護師を中心に高齢者のシーティングと褥瘡予防・再発防止に関する研修会を開催させていただきました。参加者は褥瘡の治療に関わっている方々なので、既に褥瘡の手術・処置・薬剤・栄養等は適切に提供されています。それらの治療方法に加えて車いす使用再開時に褥瘡予防に最適な姿勢を提供することで再発が防止できること。予防としても使用できることをお話ししました。100名以上の方に参加していただき、嬉しかったです。
 この研修会ではとても嬉しい再会がありました。実はこの研修会開催の発端となったのは私が書いた本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を院長先生が書店で発見して読んでくださったことなのです。そしてこの院長先生は、私が米国から帰国した直後に診察していただいた泌尿器科の先生でした。20年以上も前の当時、まだ理解されていなかった車いすで脊髄損傷者の私を親身になって考えてくださり、私に合った排尿方法等を考えてくださった先生とは20年ぶりの再開でしたが、私の心の中では素晴らしいお医者様として忘れることはありませんでした。そんな先生が私の本を発見し、読んでくださって、私に連絡をいただくと共に、病院の院内誌に私と拙著のことを書いてくださったのが褥瘡委員会の先生の目にとまって今回の研修会となったのです。研修会の前後には先生とお話しする機会をいただきましたが、本当に嬉しい嬉しい再会でした。

2009茨城シーティング研修会1spacespacespace2009茨城シーティング研修会2

 さらに28日には埼玉の病院のPT,OT,STといったリハビリスタッフの方達に仕事の終わった用型に集まっていただき、シーティング講習会を開催しました。初回としてシーティングの概念や基本的なシーティングについてお話ししましたが、次回は実践的なシーティング技術をご指導する予定。何回かの講習を提供させていただき、シーティング技術を実務で活用いただけるレベルにまでご指導させていただきたいと考えています。
 一日に5〜6時間という長時間の総合セミナーから、興味のある分野にフォーカスしたり、段階的にご指導する1時間半程度の講習会まで、シーティングセミナーには様々な形があります。様々な職務や立場の方に向けてニーズに合ったセミナーや研修会をここれからも提供していきたいです。



脊髄損傷の受傷から30年
<2009年2月17日>
 私が米国留学中に転落事故によって脊髄を損傷して車いす使用者になったのは1979年2月17日。それから30年が経ちました。救急病院、リハビリ、高校復学、大学進学、アメリカ一周旅行、帰国、就職、褥瘡との戦い、独立、アクセスインターナショナル設立、高機能のモジュラー型車いすの日本への紹介、シーティングの日本への紹介、全国でのシーティング普及活動、バリアフリー化への活動、そしてユニバーサルデザインの街づくりの活動、水泳への復帰、競泳、全国大会での優勝、パラリンピックへの出場、100m平泳ぎでの6位入賞、日本初の身障者スポーツ情報誌アクティブジャパンの創刊、障害者スポーツに対する日本社会の変化・・・。30年間、様々なことに関わり、挑戦してきました。成功したこと、失敗したこと、まだ挑戦中のもの。まだまだ自分のやるべき事はたくさんあります。現在では脊髄損傷者の寿命は健常者とほぼ同等になったと言われるようになりました。あと30〜40年は頑張れると思うので、これからも色々なことに挑戦して社会を良い方向に変えていきたいです。
 受傷後のリハビリ病院で「脊髄損傷は現代の医学では治せないけれど、10年か20年して医学が進歩したら治る可能性がある。そのためにも足が硬くなってしまっては脊髄が繋がっても歩けないのでROM(関節可動域運動)を毎日続けなさい。」と言われたのを信じて運動を続けてきたおかげで、今でも下半身の関節はとても良い状態を保っていて、快適な日常生活に役立っています。しかし医学の進歩はまだ脊髄損傷の治癒を可能にはしていません。クリストファー・リーブの財団の研究や人間のiPS細胞の研究によって、治癒に向けて希望が持てる時代になってきました。そのためにも関節の動きの維持や変形の防止を含めて、二次障害を発生させないことが不可欠。私のライフワークであるシーティングの目的にも姿勢の改善による二次障害の予防があるので、私は自分のできる範囲で車いす使用者の方の二次障害を防止するお手伝いを続けていきたいです。
   私の事故からアメリカでのリハビリ、復学、大学生活、そして帰国後の日本での活動を書いた本「愛と友情のボストン」が昨年6月に再版されました。この本には30年前のアメリカで、障害があることをまったく気にせずに一人暮らしをして学生生活を満喫し、様々なことにチャレンジしている様子が描かれています。バリアフリーという意味では日本はアメリカを追い越した面さえあります。しかし障害者の社会参加、職場復帰、そしてユニバーサルという意味ではまだあと一歩です。私が生活していたアメリカ追いつき、追い越すために私のもうひとつのライフワークであるユニバーサルデザインの街づくりの活動も続けていきます。
 以下は懐かしい写真です。左から、リハビリ病院で友人と。初めての講演。大学卒業。

リハビリ病院で友人とspace初めての講演space大学卒業



4つのセミナーと1つの講演 in 1週間
<2008年12月3〜8日>
 12月の1〜2週にセミナーと講演の依頼が集中してしまいました。どのご依頼もとても意義のあるものだったのですべてお受けしました。その結果1週間(正確には8日間)で4つのセミナーとひとつの講演という超ハードスケジュールになってしまいました。
 まずは3日に千葉リハビリテーションセンターでセミナー。小児関係の部門からのご依頼でしたが成人や高齢者関係の方も多く集まっていただき嬉しかったです。7日には佐賀大学医学部でのシーティング研修会。松尾清美先生のご依頼で午前中に松尾先生がご自身の研究と北欧を中心に行われている張り調節のシーティングについてお話しし、午後に私が米国・カナダ・豪州等を中心に行われているシーティング(ソリッドバックとソリッドバックを使用したシーティング)についてお話ししました。参加者の方は2つのタイプのシーティングの両方について学べたので、とてもお得だったと思います。
 翌日の8日には中野の商店型の方たちのご依頼でユニバーサルデザインの街づくりについて講演。9日には関東地方を中心に展開している高齢者施設の施設長さんを対象としたシーティング研修会、そして10日には当社の代理店向けにシーティング実践セミナーとしてシーティング技術について教えました。
 シーティングのセミナーの対象者は初心者や障害児(者)の家族からベテランのセラピストや医療関係者まで、内容もシーティングの概念から実践的な技術まで、シーティングの対象としては障害児から高齢者、そして軽度な障害から重度な重複障害と様々。時間も1時間の研修会ら丸一日のフルセミナーまで様々あります。今後も様々なレベルの方を対象にして、興味のある内容で役に立つセミナーや研修会を提供していきたいです。

2008千葉リハビリセンターセミナーspacespacespace2008東京シーティング研修会(高齢者)



2008岩手シーティング実践研修会III
<2008年11月13-14日>
 いわてリハビリテーションセンターの協力を得て昨年から開催している岩手県のシーティング普及活動。2008年の第3回目は二日間に渡って盛り沢山の内容で行いました。初日は実践研修の第二弾として、いわてリハセンターの重度障害者の方のシーティングと前回シーティングを行った重度障害者施設のモニター2名の再評価。夕方には担当者の方達と事例検討会を開催しました。二日目には岩手では初めての試みとして、障害児の施設でのシーティング研修会を開催しました。昨年、高齢者のシーティングを中心にスタートした岩手のシーティングが重度障害者や障害児にまで広がってきたことをとても嬉しく思います。
 いわてリハでモニターになっていただいた方は低酸素性脳症の青年で、筋緊張が強く、不随意運動や激しい動きがあって座位を取ることがとても難しい状態でした。足は両脚ともシートの上に乗せてしまうほどでした。そこで彼にとって最適なコントゥアシートを提供し、背面の形状を合わせ、骨盤ベルトで骨盤を適切な傾きに保持すると、びっくりするほど落ち着いて、まったく筋緊張や不随意運動が起こらない状態になりました。表情もとても穏やかになったので、リハのスタッフや担当の医師の方もその変化に驚かれていました。(↓写真)
 その後、午後から10月に研修会を行った重度障害者施設に行き、追跡研究の一環としてモニターなっていただいた脳性麻痺の青年と脊髄損傷の年配の女性のシーティングを再チェックして調整しました。2人ともシーティングによる新しい(良い)姿勢にずいぶん慣れてきたようでした。シーティング後に様々な良い変化があったことも報告していただきました。
 初日の夕方にはリハセンターのシーティングチームのスタッフの方々とミーティングをして、追跡研究として、これまでにモニターとしてシーティングを提供した方たち数名について担当者から報告がありました。骨盤の後傾や傾きの改善、体の傾きの改善、頭頸部のアラインメントの修正、ずり落ちなくなった、リクライニングが不必要になった、除圧が可能になってた等様々な改善点が見られましたが、特に特老施設の担当者にとっては座らせ方が難しいといった問題点もあったので、さらなる改善ポイントについて検討しました。
 
2008岩手モニター・シーティング後1spacespacespace2008岩手モニター・シーティング後2
 
 二日目は朝から岩手県立療育センターに行き、スタッフの方達に向けて障害児のシーティングについて2時間の講義を行いました。昼食後にはモニターになっていただいた方2名に対してシーティングを実際に提供するところを評価から機器の設定までお見せしました。一人目のモニターは昨年の重度障害者施設モニターになっていただいた脳性麻痺の女性。問題だった高い筋緊張をシーティングでコントロールするところをお見せしました。多くの人の前たったこともあり、昨年と比べると筋緊張の緩和が少し弱かったようですが、姿勢と筋緊張の緩和は可能でした。
 二人目のモニターは痙直型アテトーゼ型の脳性麻痺の小さなお子さん。多くの人の前だったこともあって泣いてしまいましたが、筋緊張の緩和はとてもうまくでき、首の安定を含めてとてもよい姿勢で座ることができました。お母さんの希望もあり、彼女にはモニターとして今後も参加していただく事になりました。前述のモニターの方と共に追跡研究の対象になっていただき、シーティングによる効果を見ていきます。療育センターのスタッフの皆さんにとっては初めてのシーティング研修会でしたが、とてもよい反応をいただいて嬉しかったです。今回は姿勢の改善や問題解決が可能なことを理解していただけたので、次回は技術的な面をお教えしたいと考えています。(↓写真)
 冒頭にも書かせていただきましたが、昨年スタートした岩手でのシーティング普及活動は、最初の1〜2年は高齢者と脳卒中、脊髄損傷者を中心に行う予定でした。しかしリハセンターのスタッフの方達の知識と技術力の向上が早かったので、予定よりも早く障害児の施設でシーティング講習会を開催することができました。来年はさらに高いレベルの知識と技術を提供して、障害児から高齢者、そして重度障害者まですべての車いす使用者に対してシーティングが提供できるように岩手県でのシーティングを完成させていきたいと思います。

2008岩手県立療育センター障害児セミナー講義spacespacespace2008岩手県立療育センター障害児セミナー・シーティング実演



大学での特別講義2008
<2008年10月16日、11月4日>
 10月に法政大学で、11月に早稲田大学で特別講義として講演をさせていただきました。法政大学は今年で6回目となる恒例の特別講義。当初はロボット技術の福祉利用を目指す学生さん達への講演でしたが、だんだん対象が拡がって行って、最近では技術系から社会福祉系まで様々な分野の学生さんたちに集まっていただいています。国際遠隔講座「福祉工学」講義として講演会場の千代田区九段のキャンパスから他の2つのキャンパスに同時中継という形で講義させていただきました。「高齢者と障害者の自立支援における道具と設備の考え方」と題して自立支援のための道具の駆使とユニバーサルデザインの環境の提供についてお話ししました。
 早稲田大学の講演は、障害者福祉論2の特別講義として講義所沢キャンパスに於いて1年生から4年生まで100名以上の学生さんにお話しさせていただきました。人間環境科学科、人間情報科学科、健康福祉科学科という様々な分野の学生さんに集まっていただいたき、障害者や福祉とはあまり関連のない進路に進む学生さんも多かったので「自立支援を中心とした障害者と高齢者に対する考え方について」と題して、少子高齢化社会の日本に於いて、人手による介護を中心とした対応の問題点と解決策、そして本当にすべての人の役に立つユニバーサルデザインの街づくりについてお話ししました。
 どちらの大学でも学生さんたちが最後まで真剣に聴いてくださって嬉しかったです。講義後の感想には「実際には使えないUDが多いことに驚いた」「障害者や高齢者に対する考え方が変わった」「高齢者は介護されることを望んでいると思っていたので考えが変わった」「高齢者対策は介護に人手を増やすことしかないと思っていたので道具と設備の駆使という方法に驚いた」「本当の意味での自立支援の考え方に驚いた」など問題点を理解して、改善の方向性が見えたようでした。学生さんたちが社会に出た時、様々な仕事に就いた時にこの考え方が役立つことを願っています。


早稲田大学講演1space早稲田大学講演2space早稲田大学講演3



2008千葉アビリンピックで講演と展示
<2008年10月25日>
 昨年、ユニバーサル監修プロデューサーとして3年以上も関わってきたユニバーサル技能五輪国際大会が静岡県で開催されました。今年はその国内大会である第46回技能五輪全国大会と第30回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)が千葉県で開催されました。幕張メッセ国際展示場9〜11ホールで10月24〜26日に開催されたアビリンピックでは25日に障害者ワークフェアが開催され。昨年に引き続き、就労支援機器の展示と講演を依頼していただきました。
 今回はすべて「働く」ということにフォーカスを当てて、展示では「適切なシーティングで一日中元気に働こう!」をテーマに、車いすで体に痛みを感じている方や一日中車いすで働くことが辛い方に、体に合わせた車いすシーティングによって、残存機能を最大限に発揮できるようになり、車いすで一日中快適に仕事をすることができることをお話しして、シーティング体験をしていただきました。
 講演は障害者ワークフェア2008のステージにおけるプレゼンテーションの一環としてご依頼いただきました。プレゼンテーションとしては長い45分という時間をいただきましたが、シーティングの講演としては短い時間なので、シーティングの技術的なことは省いて、シーティングによって何が可能になるかを中心に「元気に疲れずに働くためのシーティング」というタイトルでお話しさせていただきました。
 「シーティング」という言葉も知らない方も多く、セミナーや研修会のように興味のある方が集まるイベントではないので、聴講者に集まっていただけるかどうか心配でしたが、かなり多くの方に集まっていただき、実際に車いす使用者で働いている方が集まってくださったのが嬉しかったです。
 講演後に車いすの方達と話してみると、講演の内容に驚かれた方が多く、車いすで痛みを感じていたり一日中車いすで活動するのが辛いという方も多くいらっしゃいました。まだまだ車いすは移動の道具であって一日中快適に使用するのは無理だと考えている方が多いのを実感しました。私や私がお手伝いした多くの方達のように一日中車いすで快適に活動したり、仕事をしたりすることは可能だということを今回の講演、ブースでの展示、そして会場で多くの方にお伝えすることができました。実際にシーティングの依頼も多くいただいたので、シーティングを提供して元気に車いすで働く方を増やしていきたいです。

千葉ワークフェア講演space千葉ワークフェア・展示ブース



2008岩手シーティング実践研修会
<2008年10月10-11日>
 いわてリハビリテーションセンターの協力を得て昨年から開催している岩手県のシーティング普及活動。2008年第二回は実践研修会を2日にわたって開催しました。初日は障害者施設に於いて入所者2名の公開シーティング。これまでの普及活動は脳血管障害等の高齢者が中心でしたが、今回からはさらに障害の重い方を対象にしたシーティングをスタートしました。二日目は、第一回の研修会後に開催依頼をいただいた特別養護老人ホームにてシーティングの講義と入所者の方5名の公開シーティングを行いました。
 初日の会場である障害者施設に到着すると、ほとんどの入所者の方達がかなり重度な障害であるのが分かりました。シーティングでは重度障害の方にも対応できますが、変形や拘縮が進むと、完全に直すことはできなくなり、目的は悪化の防止、痛みの除去、機能性の向上などが中心となります。一人目の症例は高齢の脊髄損傷レベルの対麻痺の女性。進行した側彎と骨盤の回旋があり、股関節の拘縮により大きく後傾して座ることしかできませんでした。さらにシーティングを難しくしたのは左脚の強い外転。しかしクッションを改造することでかなり垂直に座れるようになりました。
 二人目の症例は脳性麻痺・四肢麻痺の男性。この方も股関節の拘縮があり、ずり落ち姿勢に加えて進行した円背がありました。なんとか姿勢の改善をすることはできましたが、本人が新しい姿勢に慣れることが難しく、胸ベルト等も使用して対応しました。お二人には追跡研究の一環として、車いすとシーティングを提供して半年ほど試してもらい、その期間に随時調整を行いながら様子を見ていくことになりました。
 二日目の特別養護老人ホームでは、午前中に前回の研修会の参加者で実践セミナー参加を希望される方、職員、そして入所者の家族の方を対象に2時間のシーティング講義。昼休みを挟んで午後からは希望された入所者の方5名の公開シーティングをさせていただきました。対象者は70代後半から90代の高齢者の方々で、慢性関節リウマチ、くも膜下出血、脳血栓後の後遺症などの障害。様々な合併症があり、側彎、円背、回旋などの問題、ずり落ちたり片側に傾くなどの悪い姿勢をとっていました。褥瘡の危険性や嚥下困難、痛み、便秘といった問題もありました。ほとんどの方に股関節や膝関節の拘縮の問題があったことも良い姿勢をとることを難しくしていました。
 特に拘縮の対応のためのシーティング機器の調整に時間がかかってしまいましたが、すべての方に対して姿勢の改善を提供することができ、多くの問題を解決することができました。急に新しい姿勢をとったことで、慣れない方もいらっしゃいましたが、リクライニング式などの大がかりな車いすが必要なくなってシーティング搭載の普通型の車いすが使用できるようになった方もいて、家族からも喜びの声が上がっていたそうです。今回の対象者からも追跡研究の協力者を選んで、半年間のシーティングのモニタリングをしていく予定です。
 研修会の最後に、参加者の方達に実際にシーティング機器を使用していただくハンズオン・セッションを行いました。最初に講義を聴いて、実際にシーティングをするとところを見て、実際に自分たちでも試せたことがよかったとの感想を多くいただきました。これからもこのような実践的なシーティングセミナーを岩手でそして全国で開催していきたいです。

2008岩手シーティング実践研修会・講義spacespacespace2008岩手シーティング実践研修会・シーティング体験



2008障害児セミナーin東京
<2008年10月5日>
 久しぶりに東京で障害児の家族と関係者向けに総合セミナーを開催しました。今年の5月に私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」が発売されて以来、全国各地からシーティングの依頼とセミナーの開催依頼をいただいていましたが、地元東京でのセミナー依頼の声も多くいただいたので、急遽東京での開催を決定しました。
 今回のテーマは「シーティングで変わる障害児の未来」。セミナーでは、午前中に重力の影響、二次障害の防止、姿勢とシーティングについて講義をしました。昼食を挟んで午後には、重度な障害や変形・拘縮・脱臼・筋緊張への対応についてお話ししたあと、すでにシーティングを提供しているお子さんに登場していただき、どのようなシーティングを提供して姿勢を改善したかを説明しました。次にお母さんたちにシーティングによってどのような変化が現れたかを話していただきました。私の本に登場してくださった玲央君はシーティング後に左肘と頭が自分の意志で動かせるようになり、スイッチを使ってコンピューターを使用できるようになったそうです。「シーティングでは良い姿勢をとらせること自体がゴールではなく、姿勢の改善がスタートとなり、そこから様々な活動が可能になる」と拙著に書かせていただきましたが、まさにその成功例と言えるでしょう。今後の更なる活躍に期待です。
 セミナーの最後にシーティングを希望される方2名にシーティングを提供。姿勢の改善にとても喜んでいただきました。今回のセミナーにも多くの熱心な皆様に集まっていただき「知らなかった情報をたくさん得ることができた」「諦めてたことが改善可能だと知って嬉しかった」などの肯定的な感想を多くいただきました。しかしまだまだ情報が届いていない地域も多いので、これからもこのようなセミナーを全国で開催して最新の情報と即効性のあるシーティングについて、ひとりでも多くの皆さんに伝えていきたいと願っています。今回のセミナーに参加してくださった皆様、セミナーに協力してくださった皆様ありがとうございました。

2008東京障害児セミナー1spacespacespace2008東京障害児セミナー2



国際福祉機器展HCR2008
<2008年9月24-26日>
 今年も9月24〜26日に東京有明のビックサイトで国際福祉機器展(HCR2008)が開催されました。今年は私の本「運命じゃない!」の出版があったことを受けて「様々な二次障害は防止できる!変えられる!元気に活動できる!可能性を追い求められる!」をテーマにブースを作りました。
 今年の一番の特色は、実際の車いすとシーティングのユーザーで活躍されている方達をゲストに招いたユーザーインタビューとデモンストレーションでした。私の本に成功例として掲載している脳性麻痺で四肢麻痺の小橋君と白井君がスイッチひとつによるコミュニケーションや電動車いすの操作を見せてくれました。四肢麻痺の頚髄損傷でアクティブに活動しているイラストレーターの岡部さん、スタンディング車いすを使って働いている方、そしてパラリンピックの水泳やバスケットボールの選手。毎日毎時間、様々な方達によるデモンストレーションを行いました。詳しくはアクセスインターナショナルHCR2008フォトレポートをご覧ください。
 さらにブースでは無料のシーティング体験相談会であるシーティング・クリニックと褥瘡予防と再発防止のための座圧分布測定を行いました。多くの方にシーティングや褥瘡予防クッションを体験していただけて良かったです。
 そして今年もセミナーとワークショップを開催しました。初日24日には障害児(者)向けに「障害児の変形防止のためのシーティング」、25日には高齢者向けに「車椅子で床ずれを治す。予防、再発防止のためのシーティング」、26日には「立てない人を立ち上がらせるスタンディングの効用」を開催しました。シーティングについては私が講義を行い、スタンディングについてはスイスとアメリカから来日したスペシャリストが担当しました。毎年多くの方に参加いただいて満員になっているセミナーなので、同様のテーマを最新の情報で更新した内容でお話ししました。高齢者向けのセミナーは今年も超満員になってしまいました。セミナールームに入れなかった皆様申し訳ありません。来年はもっと大きな部屋でご提供できたらと願っています。
 今年はデモンストレーションとシーティング体験によってアクセスインターナショナルのブースは最も賑わっていたブースのひとつだったと自負しています。日本中から来場していただいた皆様ありがとうございました。

2008HCRアクセスブースspace2008HCRアクセスブース・プレゼンテーション

2008HCR障害児セミナーspace2008HCR高齢者・褥瘡対策セミナー



札幌シーティングセミナー2008
<2008年8月10日>
 北海道では5年ぶりとなるシーティングセミナーを札幌コンベンションセンターで開催しました。あまり頻繁に来ることのできなかった北海道なので午前9:40〜午後4:40までの6時間のフルセミナーとして、私の持っている最新の情報を時間の許す限り多くお伝えしました。当初、参加者は高齢者・介護関係の方達が中心だったのですが、障害児の関係者も参加されることになったので、障害児や重度障害者についての内容も追加しました。当日はPT,OTを中心に120名を超える方達に集まっていただき、とても嬉しかったです。
 プログラムとしては、午前中に重力と二次障害の関係、車いすの設定についてお話しし、シーティングの第一部として骨盤の傾きと姿勢の関係から骨盤の後傾による問題と改善についてお話ししました。一時間の昼休みを挟んで午後にはシーティングの第二部として骨盤の左右への傾きによる問題と改善についてお話ししました。次に車いすの褥瘡対策についてお話しし、最後に障害児と重度障害者のシーティングとして変形・拘縮・脱臼の予防と悪化の防止、高緊張への対応、二次サポートの活用などについてお話ししました。
 集まっていただいた方達からは休み時間やセミナー終了後にも多くの質問をいただき、参加された皆さんのシーティングに対する興味の高さが伝わってきました。
 今回のセミナーではモニターの用意ができなかったのですが、札幌でのセミナーの開催を知った脳性麻痺の少女のお母さんからシーティングの依頼を受けたので、セミナーの前にシーティング評価を行い、昼休みにシーティングを提供しました。クッションとバックを変えて彼女に合わせて設定すると、背中や腰の痛みがなくなったと喜んでいただきました。さらに上肢の不随意運動があるということが分かったので骨盤ベルトを装着して昼食をとってもらいました。セミナー後に感想を聞くと、不随意運動なしで食事がとれたと、とても喜んでいただきました。
 お母さんからはその後メールで「セミナーでは何もかもが目からウロコ状態でした。私自身とても勉強になり、こんな機会を与えてくださり深く感謝します。」とのメッセージをいただきました。そのメールの中で、札幌にはシーティングのできる人がリハビリ関係者にも車いす業者にもまだ少ないので、一年に一度は札幌で業者,PT,OTの先生も交えてシーティングの講習会を開催してシーティング技術と最新情報を伝えるとともに、シーティングの再調整を行ってほしいという依頼もいただきました。なかなか伺えなかった北海道ですが、最近新しい代理店が数社できたので、彼らの技術を向上させるとともに定期的なシーティング講習会を開催したいと考えています。
(今回は写真の撮影ができなかったので写真をアップできず残念です。)




北海道のひととき
<2008年8月9日>
 最近このページでの活動報告が講演やセミナー中心になっていたので、趣向を変えて、久しぶりに訪れた北海道でのひとときについてご紹介します。北海道に来るのは2005年3月に流氷ダイビングで知床半島のウトロに行って以来の3年ぶり。それまでは2003年から3年間流氷の季節には流氷ダイビングを毎年楽しんでいました。2005年1月に積丹半島に野生のトドを水中で探す海獣ダイビングに行ったこともありました。今回は久しぶり開催された札幌でのシーティングセミナーのために北海道に来ることができたので、恵庭市に住んでいる友人が恵庭にある「10pound(テンパウンド)」というアウトドア・アクティビディを提供している施設に連れて行ってくれました。
 空港から電車で恵庭駅へ。恵庭駅から車で20分程でテン・パウンドに到着。北海道らしい大自然が広がる風景の中に大きな池が3つ。そして小さな餌釣りのできる池の横の高台に食事のできるコテージが建っていました。テンパウンドではフライフィッシングからスノーモビルまでアウトドア・アクティビティが楽しめますが、今回は早い時間の飛行機がとれずに到着したのが午後5時だったので、一番手軽な餌づりを楽しむことにしました。いつもダイビングで海に潜って魚を見ていますが釣りをするのは十数年ぶり。簡単な餌釣りですが、たくさんのヤマメやニジマスが釣れて、子供のようにはしゃいでしまいました。
 釣りの後はコテージのベランダでバーベキュー。北海道各地から取り寄せた新鮮な野菜やホタテ貝、そしてソーセージやラム肉などはどれもとても美味しかったです。しかしそれをも上回る美味しさのが少し前に釣ったニジマスとヤマメ。ニジマスは塩焼きにヤマメは素揚げにしてもらって食べたのですが、川魚がこんなに美味しいと思ったことはありませんでした。本当に美味しかったです。大自然の中でこんなに美味しい魚を食べられて幸せでした。
 テンパウンドの施設はコテージまでスロープがあり、トイレも車いすで使用できました。このような施設には、このようなさりげないUDが似合います。素晴らしい施設。素晴らしい時間でした。
 残念ながら10pound(テンパウンド)は2009年11月末をもって閉店となりました。いつの日か再開の日が来ることを願って、楽しみにしています。

2008テンパウンドでの釣りspace2008テンパウンド釣り堀

2008バーベキューspace2008北海道の夜空



恵庭駅の問題
<2008年8月9日>
 東京の電車、地下鉄、新幹線のように小さな1段の段差であれば自分自身で、または簡単な介助で乗り降りすることができます。しかし、札幌の電車(私はエアポートライナーしか利用したことはありませんが)は乗降口に2段の段差があります。そのためスロープを使用しないと乗り降りするのは困難です。いつも使用する千歳空港駅や札幌駅では駅員がスロープを持ってきて介助してくれます。
 今回、恵庭駅を初めて利用しました。午後四時半に到着した時には千歳空港駅から連絡してもらっていたのでスロープが用意され、問題なく降りることができました。問題は友人と会って食事をして夜9時ころに恵庭駅の改札を通ろうとした時に起こりました。切符を買って改札に行って駅員にスロープの用意と介助を頼みました。すると駅員は車いすの私に驚いて言いました。「午後6時以降は一人になるので、手伝えないんですよね〜」私が「旅行者なのでそんなことは知らないし電車に乗る必要があるのでそれでは困る」と言うと駅員は「では、こちらを閉めてからホームに行くので待っていてください。」と言い、しばらくホームで待っていると駅員がスロープを持ってきてくれたのですが、「午後6時以降は一人なので車いすの人が電車に乗るなら午後6時までにしてほしいんですよね。」と言いました。私はその発言に唖然としました。
 私のような旅行者や余暇での使用ならまだしも、仕事の帰りが6時を過ぎる車いすの人もいるでしょう。6時というのは常識的な時間ではないでしょう。恵庭駅にはエレベーターも身障者用トイレも身障者用駐車スペースも用意されています。車いすの通れる幅の広い改札もあります。せっかく作った施設や設備が無駄にならないためにも、一般の利用者と同様に車いすでも駅や電車が利用できることを切望します。
 「車いすでの利用は6時まで」と言った若い駅員の表情や言葉には全く罪悪感が見られなかったのは驚きであり残念でした。このような問題があるのは恵庭駅だけではないことを知りました。国鉄が民営化して21年。ユニバーサルを目指す社会の中でJRにも最低限のサービスは提供してほしいです。
 (写真はその後に到着した札幌駅)


快速エアポート乗降space快速エアポート段差



2008岩手県シーティング研修会
<2008年8月1日>
 岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て昨年から開催しているシーティング研修会の今年第一回の研修会を岩手県北部の二戸シビックセンターで開催しました。昨年は盛岡での二回のセミナーに加えて県の東部と南部の施設に於いて実践セミナーを開催しました。今年は県の北部でということで二戸での開催が決まりましたが、シーティングの知られていない北部で参加者が集まるだろうかとの心配がありました。しかし参加者を募ってみると岩手県の全域から100名以上の参加者に集まっていただき、とても嬉しかったです。
 研修会の時間が2時間だったので、車いすの設定からシーティングの基本、そして骨盤の傾きによる様々な問題への対応、そして褥瘡予防と再発防止のためのシーティングについて話すのはかなり大変でした。研修会の後、参加された方々からはとてもとても好意的な感想をいただいて嬉しかったのですがが、「時間が短かった」「もっと聴きたかった」「ちょっと早口だった」との意見も多く、次回以降の研修会のための反省点として役立てたいと思いました。
 この研修会の前日の夕方には、いわてリハビリテーションセンターで褥瘡予防と再発防止のためのシーティングについて研修会をしました。「褥瘡」がテーマだったのでセラピストの方たちの他に看護師や医師の方にも多く参加していただき、褥瘡の予防、治療、再発防止のために車いすとシーティングが果たせる役割について知っていただけてよかったと思います。
 岩手県では今年もまた昨年のように開催を希望される施設に於いて実践セミナーを開催していく予定です。

2008岩手二戸シーティングセミナー1spacespacespace2008岩手二戸シーティングセミナー2



養護学校での障害児向けシーティングセミナー
<2008年7月24日、29日>
 今年も養護学校から研修会の依頼をいただき24日と29日に研修会を行いました。毎年夏休みの時期に多くの養護学校からシーティングの研修会の依頼をいただいてとても嬉しいのですが、7月の後半に依頼が集中してしまうため、日程が重なってしまいます。今年も二校のご依頼をお断りせざるを得ず、申し訳なく、とても残念でした。来年はもう少し日程が分散してもっと多くの学校のお手伝いができればと願っています。
 7月24日に依頼を受けた養護学校は以前にも研修会を開催したを学校です。新しい先生が多くなったということで、再度姿勢とシーティングについての研修をご依頼いただきました。前回は2時間の研修でしたが、時間が短かったとの感想も多かったことから今回は3時間いただいたので、休憩を入れながら詳しくお話しすることができました。重力と姿勢の関係、二次障害の予防と悪化の防止、良い姿勢と悪い姿勢、側彎と円背をはじめとした障害児に多く見られる変形への対応、拘縮や脱臼の予防や再発防止、筋緊張への対応などについて5月に出版した私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」に掲載した症例のご紹介もしながらお話ししました。長時間の研修会なのに参加された皆さんはとても熱心に聴いてくださって嬉しかったです。
 障害児と毎日関わる学校の先生方に、体に害を与えない車いす上の姿勢と車いすから降りた時の姿勢について知っていただくことはとても大切です。せっかく家庭で正しい姿勢保持が行われていても学校や施設で関わる方たちに姿勢やシーティングの知識がないと、せっかくのシーティングや姿勢保持の効果が半減してしまいます。だからこのような養護学校からの依頼はとても嬉しいのです。
 翌週の7月29日には埼玉の養護学校で研修会を開催していただきました。この研修会には他の養護学校からも先生方が参加してくださいました。こちらの研修会ではシーティングを初めて知った方達がほとんどでした。2時間の研修会だったので、初めての方向けにシーティングがどんなことを可能にするか、障害児の二次障害は予防できることを中心にお話ししました。研修会後、参加者の方たちからとても良い感想をいただきました。今回の研修会が障害を持った生徒さん達の二次障害を予防して残存機能を最大限に発揮できることに繋がり、健康に元気で活動できるお子さんが増えればと願っています。

2008養護学校の先生向けセミナー風景


佐賀ユニバーサルデザイン講演と推進会議
<2008年7月17-18日>
 佐賀県にユニバーサルデザインの講演とUD推進会議のために行ってきました。県庁そぱの美術館ホールで開催された県主催の講演会には多くの県職員と一般の方たちが集まってくださいました。ユニバーサルデザインの街づくりと障害者・高齢者の支援について1時間半ほどお話ししました。翌日には佐賀県ユニバーサルデザイン推進会議に参加しました。四時間という長い会議でしたが、実りある会議経ったと思います。
 私が佐賀県をお手伝いするようになったきっかけは、2003年11月に古川知事が私を訪問してくださったことでした。とても光栄なことに古川知事は、自治省にお勤めのころ、私が編集長として創刊した日本初のスポーツ情報誌「アクティブジャパン」を定期購読してくださっていたのです。当時、アクティブでカラフルな身障者スポーツの写真を豊富に使い、最新の情報を発信していたアクティブジャパンは、大きな話題になり、日本で障害者スポーツが一般に認知されるきっかけを作ったことで知られています。しかし私が編集長として本当にやりたかったのは、身障者のイメージ、置かれている立場、取り巻く環境の改善でした。そこで「コンセンサス97」という記事を使って、次世代の身障者用トイレやホテルの客室について議論したり、コンセンサスを集めて身障者の考えを社会に伝えようとしました。私が一番やりたかったのはこの部分であり、スポーツは意識改革のためのツールだったのです。
 私が感激したのは、古川知事がこの連載記事をよく覚えていてくださったことです。そしてその記憶から、私に佐賀県のユニバーサルデザイン化の協力依頼をしてくださったのです。翌年2004年の2月には佐賀県で初めてのユニバーサルデザインの講演をして、佐賀県UD指針の作成を手伝い、UD推進会議のアドバイザーとなって現在に至ります。
 この5年間に、佐賀県のUD普及活動は進み、様々な活動が始まり、変化が起こりました。私も様々な提案やコンサルティングを提供しましたが、その中でも私が最も誇れるのは古川知事からの依頼に応えて企画・提案した佐賀県パーキングパーミット制度のスタートです。日本初となった身障者用駐車スペース利用のための制度は大成功しました。その後、長崎県・熊本県・福井県・山形県等に拡がっています。これからも色々な提案をしてユニバーサルな社会の実現のためにお手伝いしていきたいです。

2008佐賀ユニバーサルデザイン講演1space2008佐賀ユニバーサルデザイン講演2

2008佐賀ユニバーサルデザイン推進会議



青森障害児シーティングセミナー2008
<2008年7月5-6日>
 青森県では初の障害児向けシーティングセミナーをアピオあおもり大研修室にて開催しました。このセミナーは青森市の青森障害者ともの会コスモスの会長さんが東京で開催された肢体不自由児養護学校PTA連合会の中央研修会で私のセミナーを聴かれてからずっと依頼してくださっていたもので、やっと実現することができました。
 せっかく青森まで行くのだからということで、初日にシーティングの講義を行い、2日目にシーティング体験希望者にシーティングを提供するというプログラムで開催しました。初日のセミナーには多くの障害児(者)関係者が集まっていただき熱心に講義を聴いていただきました。しかし翌日のシーティング希望者がとても多くなったため、急遽セミナーの後半に2名の方のシーティング体験を行いました。二人とも姿勢が改善して喜んでいただきました。
 2日目は初日に参加した方たちが再度集まってシーティング体験を行う予定でしたが、2日目から参加する方も多かったため、急遽セミナーの講義の部分をダイジェスト版でお話しすることになりました。私がお話しをしている間に弊社の担当者が別室でシーティングの評価を行い、評価の終わった方から順次、私がシーティングの最終調整を公開で行うという形にしました。
 2日目には7名のシーティングをしました。ほとんどが脳性麻痺の方たちで、年齢も19〜30歳と二次障害が進んでいる方も多かったのですが、それぞれ姿勢の改善ができ、筋緊張の緩和など二次障害が改善された方も多かったです。これまで高緊張で上肢が使えなかった脳性麻痺の女性がシーティング後に車いすに取り付けたテーブルの上でコミュニケーション・エイドを初めて使用して自分の名前が書けた時には会場から拍手が起こりました。
 青森ではシーティングに対する理解もまだ低く、シーティングのために座位保持装置の交付を受けるのは難しいのですが、今回シーティング機器の購入を決めた方を中心に成功例を作って行き、青森の障害児(者)の方たちの二次障害を防止して、機能性を向上するお手伝いをしていけたらと願っています。
 セミナー後にいただいたアンケートの結果には嬉しい感想がいっぱいでした。「シーティングの大切さが分かった。骨盤をきちんとする事の大切さがよく分かった。側湾は仕方のないものと思っていたが、そうではないことを知り前向きな気持ちになった。シーティングの理論をとても分かりやすく具体的に説明されていて、知らなかったこと、間違った考えをしていたことがいろいろとあった。二次障害を防ぐために何をすればよいのか知ることができた。モニターの子供さんに実際に合わせながら説明を受けられたことが分かりやすくてよかった。実際にシートやクッション、ベルトなど、使い方を実演して説明していただき、大変わかりやすく、理解しやすかった。最先端の技術を知れたことと、話が非常に分かりやすかった。何より実際にデモンストレーションを見られたことが大変勉強になった。このような考え方が広く普及したらいいと思った。」
 障害児(者)の家族が中心となって開催してくださったセミナーでしたが、素晴らしい2日間になって、とても満足しています。これが青森でのシーティングの普及に繋がれば嬉しいです。青森の皆様ありがとうございました。

2008青森障害児セミナー1spacespacespace2002008青森障害児セミナー2



「愛と友情のボストン」再版のお知らせ
<2008年6月25日>
 6月25日に藤原書店より、私の留学中の事故からアメリカでのリハビリ、復学、大学生活、そして帰国後の日本での活動を書いた本「愛と友情のボストン」が再版されました。今回は「車椅子から起こす新しい風」というサブタイトルです。
 この本は、私がまだボストンの大学3年生の時に集英社から依頼されて書いた「愛と友情のボストン 翔べ!青春の車椅子」が元になっています。その12年後に文京書房から再版されることになり、帰国後の10年について加筆して「愛と友情のボストン そして、その後の十年・・・」 として再版しました。加筆した章には、帰国後の生活、就職、水泳選手としての活動、パラリンピック出場、アクセスインターナショナルの設立、アクティブジャパンの創刊などが含まれています。
 そして2008年5月に「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を出版した藤原書店から「愛と友情のボストン 車椅子から起こす新しい風」として再々版されることになったのです。この本が24年もの長い期間、多くの方に読み続けられていることにとても感謝しています。
 「愛と友情のボストン」というタイトルは初版時の編集長さんに付けていただいたタイトルで、最初はちょっと恥ずかしく感じました。しかし留学中の高校生が転落事故で車いすの生活になり、リハビリをして高校に復学して、ひとり暮らしをして様々なことに挑戦して大学を卒業したという本の内容を考えると、様々な人々の愛と友情に支えられていたのが分かります。そのおかげでとても楽しい6年半の車いすでのアメリカ生活が可能だったのでしょう。
 日本の障害者を取り巻く環境は24年前のアメリカを超えられたでしょうか?この本を読んでいただくと、私が障害があることをまったく気にせずに一人暮らしをして学生生活を満喫し、様々なことにチャレンジできた理由がお分かりいただけるでしょう。帰国後に日本の障害者を取り巻く環境や選択肢のなさに愕然として始めた様々な活動についてもご紹介しています。
 本に関する詳しい情報とご注文はこちらのページへどうぞ。

「愛と友情のボストン」



「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」出版のお知らせ
<2008年5月23日>
 5月23日に藤原書店より、障害を持ったお子さんの家族向けに、姿勢とシーティングの大切さを伝える本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を出版いたしました。シーティングの普及活動を始めて今年で15年、ずっと書きたかった本が出版できてとても嬉しいです。この本には私が今までセミナーでお話ししてきた内容を中心に、11の成功例についてご家族のお話とともにご紹介しています。
 「運命じゃない!」というタイトルは私がシーティング・セミナーでいつも使っている言葉です。変形をはじめとする二次障害は「障害を持って生まれた運命だからしょうがない」のではなく、適切な車いすの設定とシーティング、そして日常の姿勢を考慮することによって防止が可能なことを、ひとりでも多くの障害を持った方とご家族に伝えたい。そんな気持ちでこの本を書きました。この本が障害児(者)の二次障害の防止につながって、健康に発育でき、残存機能を最大限に発揮できるようになって元気で活動できる方が増えることを心から願っています。
 その結果として、障害を持った方と家族、みなさんに幸せになってほしいという思いを込めて表紙をスマイル(笑顔)にしてみました。
 本書の内容は障害児が中心ですが、姿勢とシーティングの基本的な考え方についてお話ししていますので、中途障害者から高齢者まですべての車いす使用者の方に役立つと思います。二次障害の防止や機能性向上のための適切な姿勢保持には、障害を持った方の生活に関わるすべて方の協力が必要です。ご家族はもちろんですが、日常生活で関わる方の理解がひとりでも多く得られることで、より良い結果につながります。ぜひ関わる方皆さんに読んでいただきたいと願っています。
 本に関する詳しい情報とご注文はこちらのページへどうぞ。

「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」



2008新春シーティングセミナー
<2008年2月24日>
 昨年カナダからシーティング・スペシャリストのOTを招いて行った中上級者向けシーティングセミナーがとても好評だったのを受けて、今回はオーストラリアからボストン出身のシーティング・スペシャリストのPTであるエイミー・ブロンソンさんを招いて初心者・中級者向けシーティングセミナーを開催しました。今回のセミナーでも私が通訳を務め、午前9;30〜午後4:00まで様々なプログラムを提供しました。
 午前中にはシーティングの基本、重力の考え方、高齢者と脊髄損傷・頚髄損傷者のシーティング、褥瘡予防と再発防止についてお話ししました。昼食を挟んで、午後から1時間ほど障害児と脳性麻痺を中心とした重度障害者のシーティングについて、二次サポートを含めてお話ししました。
 セミナーの最後の1時間半は「ハンズオン」と呼ばれるグループに分かれてのワークショップを行いました。今回のハンズオン・セッションでは、参加者120人を80人のPT,OTを中心としたグループと40人の代理店担当者のグループに分けて二部屋を使い、10のグループに分けて、グループごとに車椅子とシーティングの調整、褥瘡予防クッションの比較、反発力の体感、新開発製品J3バックの取り付けと調整、バックサポートのカスタム化などについて、シーティングを提供する側と体験する側を交互に行って試乗したり体験したりしていただきました。今回もこの体験セッションはとても好評でした。講義の後に実際にシーティング機器を使って体験していただくのが理解していただくための一番の方法だと再確認しました。参加者の方達がこのセミナーで学んだことをそれぞれの仕事に役立てていただければ嬉しい限りです。

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2008中上級者向けシーティングセミナー・シーティング体験



岩手シーティング研修会2007パート4
<2007年11月23日>
 岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第四回として今年最後の研修会をいわてリハビリテーションセンターで開催しました。今回も第二回・第三回と同様に実践形式の研修会として、特にリハセンターのPT,OTの方々の研修を中心に行いました。外部からもリハビリ・介護関係者の聴講がありました。
 今回も最初にシーティングの講義を1時間ほど行った後、脊髄損傷等の患者さん3名にシーティングを体験していただき、シーティングの評価と処方について聴講者の方々にお見せしました。今回は患者さんを緊張させないこととプライバシーを考慮して、別室でシーティングを行い、その模様をビデオでスクリーンに映して別室の聴講者に見ていただき、各症例の後に質問を受け付けました。昼食を挟んで、脳血管障害等の患者さん3名に午前中と同様にシーティングを体験していただき、聴講者にスクリーンで見せて質疑応答をしました。
 今回の研修会では最後に「ハンズオン」と呼ばれるシーティングを提供する側と提供される側になって交互に体験する時間を設けてリハセンターのPT,OTの方達に体験していただきました。グループごとに褥瘡予防クッション、バックサポート、ポジショニング・ベルトの順で実際に使用して体験していただき、シーティング機器を使用する患者さんの気持ちや感覚を体験していただきました。体験することで理解できることはとても多いので今回もハンズオンはとても好評でした。
 セミナー後の感想には、「実践を通した勉強会が参考になった。「座位時間を延ばすためにシーティングを応用したい。」「利用者のためにシーティングを取り入れたいと考えていたのでシーティング機器を体験できてよかった。」「短時間でシーティングされる様子を見て驚いた。」「来年は他のスタッフも参加させたい。」などの声が多く寄せられて嬉しかったです。
 今年、岩手ではリハセンターでの研修会も含めて5回のシーティング研修会を開催しました。岩手県にシーティングが普及していく手応えを感じていますが、来年はさらに普及活動を進めていく予定です。

2007岩手シーティング研修会パート4spacespacespace2007岩手シーティング研修会パート4



岩手県庁ユニバーサルデザイン講演会2007
<2007年11月22日>
 岩手県からユニバーサルデザインの講演依頼をいただき、ユニバーサルデザインの街づくりに関する講演会を岩手県庁で開催しました。今回の講演では「本当に必要とされるユニバーサルデザインとは」と題してこれまでのユニバーサルデザインの講演で話してきた内容をさらに拡げてお話ししました。
 日本の街づくりは、障害者のためにバリアフリーを除去するバリアフリーから全ての人に優しいユニバーサルデザインの街づくりへと変わってきています。しかし本来なら基本にあるべきバリアフリーが適切に行われず、車いすで使用できなくても大多数の人が使えるからと、そりような施設や建物を「ユニバーサルデザイン」と呼んでいることをはじめとした、ユニバーサルデザインの問題点について話しました。  聴講してくださった県庁の職員の方達からは、「今までにない切り口の講演だった」、「このような問題について初めて聞いた」といったような感想をいただきました。日本各地で行われているいい加減なユニバーサルデザインに歯止めをかけたい私にとってはとても嬉しい反応でした。理解者の増えた岩手県で「本当に使えるユニバーサルデザイン」の推進のためにこれからもお手伝いしていきたいと考えています。

岩手県庁ユニバーサルデザイン講演会1space岩手県庁ユニバーサルデザイン講演会2



2007年ユニバーサル技能五輪国際大会
<2007年11月14-18日(技能五輪は21日まで)>
 2004年に準備委員会の委員をしてから、組織委員会のアビリンピック技術委員会と広報委員会、そしてユニバーサル監修プロデューサーとして3年以上も関わってきたユニバーサル技能五輪国際大会が遂に開会。静岡市のグランシップで開会式が行われました。会場に近づくと外国の選手団の姿も目に付き、国際大会の雰囲気が感じられ、グランシップの建物に掲げられたユニバーサル技能五輪世界大会の文字を見ると、遂にこの日が来た!という気持ちで胸がいっぱいになりました。会場の大ホールに入ると私の席は最前列の真ん中。組織委員会の理事では唯一の車いすと言うこともあったのでしょうが、特等席で開会式を見ることができました。
 ユニバーサル技能五輪国際大会は、史上初めて健常者の職業技能を競う技能五輪と障害者の職業技能を競うアビリンピックの世界大会を同時開催するという大会。技能五輪国際大会には46ヵ国から812名、国際アビリンピックには23ヵ国から360名の選手が参加しました。
 やはり史上初となる合同開会式が満員の大ホールで午後4時ちょうどにスタートしました。2007技能五輪国際大会旗を先頭に選手団が次々と入場してきます。国旗の小旗を持りながら舞台左手のスロープから上がって、舞台上で手を振ったり、様々なパフォーマンスをして、右手のスロープを降りていきます。ユニフォームにもパフォーマンスにもお国柄が現れていました。民族衣装からビシッと決めたスーツまで様々です。気になったのは国技能五輪の選手だけの選手団。米国をはじめ障害者の統合が進んでいる国が参加していないことは今後の課題になるでしょう。判定にビリンピックだけ参加の国もありました。
 入場行進の最後は主催国の日本。何度も見てきたパラリンピックの選手とは違いますが、仕事がテーマのユニバーサル技能五輪世界大会、卓越した職業技能を持つ選手達は、ユニフォームのスーツも似合って、かっこよかっです。アビリンピックの選手には知り合いの顔を見つけて喜びました。満22歳以下の技能五輪の選手達はステージでパフォーマンスも披露。屈託のない笑顔の若者なのに、高い職業技能を持っていることを誇らしく思いました。
 すべての選手団の入場行進が終わり、開会宣言、会長の挨拶、選手宣誓そして大会名誉総裁の皇太子殿下からのお言葉をいただきました。最後に厚生労働副大臣の挨拶の後、石川静岡県知事から静岡県への歓迎の挨拶をいただいて開会式は終了しました。引き続き、アトラクションとして日本の伝統楽器によるライブがあり、会場を移して選手交流会が行われました。選手達は翌日から技能五輪国際大会は沼津市で、国際アビリンピックは静岡市で競技に入りました。

ユニバーサル技能五輪国際大会・開会式1spaceユニバーサル技能五輪国際大会2

spaceユニバーサル技能五輪国際大会・皇太子殿下お言葉



岩手シーティング研修会2007パート3
<2007年10月18日>
 岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第三回を岩手県沿岸部の大船渡にある大船渡福祉の里センターで開催しました。7月25日の盛岡、9月26日の藤沢に続く研修会の第三弾です。今回はできるだけ長く研修会の時間を取るために、私は盛岡からではなく、北上に新幹線で入り、バスに乗り換えて会場に移動しました。今回も前回と同様、実践形式の研修会です。講義を1時間半ほど行った後、昼食を挟んで実際に患者さんに体験者になっていただいてシーティングの評価と処方について参加者の方々にお見せしました。
 前回の研修会でのモニターはすべて高齢者でしたが、この福祉の里センターには障害児の施設や養護学校もあることから、高齢者だけでなく脳外傷や脳性麻痺など、異なった障害の方4名がモニターになってくださいました。残念なことに当日になって81歳の脊髄損傷の女性が体調を崩して参加できなくなったので、21歳と30歳の脳性麻痺の女性と24歳の頭部外傷後遺症の男性にシーティングを定見していただきました。
 最初の脳性麻痺の女性は自操できるレベルの障害でしたが、車いすの操作時に緊張や不随意運動が出てしまうとのこと。骨盤の保持を骨盤ベルトで行って姿勢を改善しました。二人目の脳性麻痺の女性はとても強い緊張が常時あって、不随意運動の問題もありました。緊張の強い時は進展傾向で体は右に倒れ、緊張が抜けている時は身体が前に倒れていました。まずマットテーブルで評価をしようとしましたが、緊張が強くて身体がエビ反りになってしまい、両側から支えても座ることができませんでした。何とか身体のサイズを計って車いすを設定して乗っていただくと、骨盤ベルトをしたとたんに緊張が緩和され、会場からどよめきが上がりました。シーティングで緊張がコントロールできる事を示すとても良いデモンストレーションになったと思います。(写真右)
 最後の体験者は24歳の脳外傷による四肢麻痺の男性。問題は背部の筋緊張と転倒・転落の心配。車いすで快適に過ごす時間を増やしてベッドでの時間を減らしたいということでした。車いすを設定して乗っていただくと、最初は少し緊張されていましたが、身体の緊張が緩和されて良い姿勢で座っていただくことができました。(写真左)
 実際にシーティングの評価と処方を見ていただいた後、参加者の方々から質問を受けてお答えしました。「あんなに強い緊張が緩和されたのを見て驚いた」「こんなに変わるとは思っていなかった」「ぜひ自分の職場でも導入して提供したい」など、とても肯定的な感想が寄せられて嬉しかったです。次回は11月末にいわてリハビリテーションセンターで今年の締めくくりの研修会を今回と同様の実践セミナーとして開催します。

2007岩手県藤沢シーティング研修会モニター1シーティング使用前後spacespacespace2007岩手県藤沢シーティング研修会モニター2シーティング使用前後



国際福祉機器展・HCR2007
<2007年10月3〜5日>
 今年もHCRが東京ビッグサイトで開催されました。今年も海外の取引先とのジョイントですが、今年はアメリカのMedTrade、ドイツのRehaという世界三大福祉機器展がすべて同じ週に開催されるという異常事態が発生し、日本に来られない海外企業も弊社の取引先だけでなくてもたくさんいました。今年も昨年好評だった他社のブースから独立したアイランド型のブースにしました。今年の目玉は、10年ぶりにサンライズ・メディカルから発売された新型のバックサポート「J3バック」です。このJ3バックを中心のディスプレイにして、多くの方が体験できる形にしました。褥瘡予防クッションのJ2やスタンディング車いすなどもすべて体験できるようにし、シーティングの体験もとても好評でした。
 私は今年もセミナーの講師を務めました。初日は「車椅子で床ずれを治す 予防と再発防止のためのシーティング」と題して車椅子による褥瘡予防と再発防止について、2日目はスタンディングのセミナーは海外から来日したPTに任せましたが、最終日には「障害児の変形防止のためのシーティングと題して障害児の二次障害防止のためのシーティングについてお話ししました。どちらのセミナーにも多くの方たちに集まっていただきましたが、やはり日本は高齢化社会。初日の大きな会場で行った褥瘡予防のセミナーは立ち見のスペースもなくなるほどの超満員になり、とても嬉しかったです。会場に入れずにお帰りになった方のため今後も同様のテーマのセミナーを開催していく予定です。シーティングの普及活動をはじめてから今年で14年。これからも更なる普及と車椅子を使用される方の問題解決のために尽力していきます。
 何しろ話し続けたという印象の3日間でした。終了後には本当に声がかれてしまいました。今年も「体験できる」アクセスのブースには多くの方たちが集まり、実際に体験されて製品のよさを実感していただきました。休む暇もないほどの大盛況ぶりに大感激の3日間。ブースにおいでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。

HCR2007セミナー1spaceHCR2007セミナー2
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HCR2007アクセスブース1spaceHCR2007アクセスブース2spaceHCR2007アクセスブース3



静岡ユニバーサルデザイン講演会2007
<2007年10月26日>
 静岡を代表するホテルのひとつであるホテルセンチュリー静岡から依頼をいただき、ユニバーサルデザインに関する講演会を開催しました。2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の開催まで1ヶ月。ホテルセンチュリーを含め静岡市周辺のホテルは国際アビリンピックに参加する国々からの参加者の対応の準備に追われています。ホテルセンチュリーにも オーストリアをはじめとする数カ国の選手と役員の宿泊が予定されています。今回の講演ではユニバーサルデザインの考え方と、障害を持った国内外からの宿泊客に対しての接客についてお話ししました。
 講演はホテルの依頼により、スタッフの勤務時間に合わせて午前と午後に一回ずつ行いました。私の講演の基本的な内容は同じでしたが、午前中の講演の参加者には厨房の料理スタッフが多く、午後の講演にはフロントロビーのスタッフが多かったので、実例などについては考慮してお話ししました。みなさんとても熱心に聴いてくださって嬉しかったです。
 私は大会のユニバーサル監修プロデューサーとして多くのホテルにアドバイスを提供しました。ホテルセンチュリーにもバリアフリー化/UD化のアドバイスを提供していましたが、今回の講演と講演の間に、改修の終わった部分を見せていただきました。さらに大会に向けて改修を行う各階のトイレについては、施工業者も呼んで直接アドバイスを提供しました。
 今回ホテルのスタッフとお話ししていても大会が目前に迫っているのが実感できました。ユニバーサル監修プロデューサーとしては、まだまだやり足りない部分はたくさんありましたが、ホテルの宿泊については100人以上の車いすの選手が宿泊できるホテル客室を確保できました。これがフィニィシュではなく静岡のユニバーサルデザインのスタートとしてこれからもお手伝いしていきたいと考えています。

静岡ユニバーサルデザイン講演会



岩手シーティング研修会2007パート2
<2007年9月26日>
 岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第二回を、岩手県南部の東磐井郡藤沢町にある老健ふじさわで開催しました。7月25日に盛岡で開催した第一回研修会で開催希望地を募集したところ、真っ先に手を上げてくださったのが老健ふじさわでした。今回は復習のために講義を1時間ほど行った後は、すべて実践形式。実際の患者さんに体験者になっていただいてシーティングの評価と処方をお見せしました。
 モニターになっていただいたのは老健に入所している患者さん5人。ひとりずつ現在使用している車椅子で登場していただき、座位の評価と改善を行って参加者の方々にお見せしました。
 老健ふじさわでは一般的な老人保健施設と比べて、それぞれの高齢者の方のニーズに合わせて車椅子に工夫して提供していましたが、シーティングの技術はまだ活用していなかったので、シーティング用のクッションを使ってずり落ちを防止し、片側への傾きを改善、本人に合わせた背面角度を設定して安定性を提供し、調整式のアームレストで上肢を保持するなどして姿勢を改善。足で車椅子を操作している人には適切なシートの高さを提供してこぎやすくしました。これらのシーティングの設定について、そ方法と手順をお見せしました。
 参加者の方々からは「シーティングを提供しているところを初めて見た」「こんなに変化があるとは驚いた」「ぜひ自分の勤めている施設にも導入したい」など、とても肯定的な感想が寄せられて嬉しかったです。次回は10月に岩手県の大船渡で今回と同様の実践セミナーを開催します。

2007岩手シーティング研修会パート2講義1space2007岩手シーティング研修会パート2講義2

2007岩手シーティング研修会パート2モニター(シーティング使用前後)



第9回日本褥瘡学会学術集会
<2007年9月7〜8日>
 群馬県前橋市で開催された、第9回日本褥瘡学会学術集会では、企業展示の面から参加することになってましたが、私が東京大学医学部付属病院でお手伝いした症例に関して、東大病院の褥瘡対策チームの宇野光子さん(WOCナース)が一般口演で発表することになり、共同発表者としてプレゼンテーションの作成をお手伝いしました。宇野さんが同じく共同発表者の東大病院の医師の先生方と手術や治療の面についてまとめ、私はシーティングの面からどのように再発防止を行ったかをまとめました。褥瘡学会の「顔」でもある真田弘美先が共同発表者に名を連ねていただいたのがとても光栄でした。元々は真田先生からのシーティング依頼から始まった症例です。
 一般口演はとても時間が短いので、プレゼンテーションをまとめるのが大変でした。症例は、ひとりが仙骨に褥瘡のある高齢の男性。もうひとりが片側の坐骨に褥瘡が繰り返し発生していた若い脊損の女性で、今回手術後にシーティングを提供した方でした。発表当日は、発表後にシーティングに関する質問があったら私が答えることになり、舞台の脇で待機しながら発表を聴きました。発表はとてもうまくいき、宇野さんと私で1名ずつの質問に答えました。
 発表が終わると展示会場のあるグリーンドーム前橋に移動して展示を手伝いました。我々の展示していた褥瘡予防クッションのJ2クッションや圧測定器のXセンサー、そしてシーティングの搭載された車いすには多くの方たちが興味を示してくださいました。しかし褥瘡学会に参加している看護師さんや医師の先生方は日本では褥瘡治療のプロフェッショナルなのに、まだシーティングの効果についてご存じない方がたくさんいらっしゃるのが分かりました。単に褥瘡予防クッションを使うよりも、シーティングと組み合わせることで、どれだけ高い褥瘡予防・再発防止効果が得られるかを2日間に渡って説明し続けました。その合間にいくつかの講義にも参加することができ、とても有意義な大会でしたが、まだまだやらねばならないことがたくさんあるのを実感しました。


2007日本褥瘡学会学術集会・会場space2007日本褥瘡学会学術集会・発表space2007日本褥瘡学会学術集会・展示ブース



2007中・上級者向けシーティングセミナー
<2007年8月25〜26日>
 シーティングの中でも難しいと考えられている脳性麻痺を中心とした重度な変形、拘縮、そして強い筋緊張のある方のシーティングには、一般的なシートとバックによるシーティングだけでは充分ではなく、二次サポートと呼ばれるポジショニング・ベルトや頭部サポートの使用が必要となります。日本ではこれらの二次サポートの効果的な活用があまり行われていないので、外国からシーティング・スペシャリストの先生を呼んでセミナーを開催しました。今回招いたのはカナダでプライベートOTとして開業していて、カナディアン・シーティング&モビリティ・カンファレンス等の理事を務め、多くのシーティング関連企業のアドバイザー、そして教育担当者として活躍されているブレンリー・モーグル-ロトマンさんです。私自身カナダやアメリカでの多くのセミナーや研修会で何度も彼女のセミナーに参加しており、いつかは日本に招きたいと考えていました。
 今回は大阪と東京で一日がかりのセミナーを開催しました。ブレンリーさんの意向で講義の後に「ハンズ・オン」と呼ばれる、実際に自分の手を使って評価や処方をしたり、体験したりする時間を設けました。
 セミナーには多くのPT、OT、医療・リハビリ関係者の方々、そして弊社代理店のシーティング担当者に参加していただきました。朝9:30から午後4:30という長丁場でしたが、参加者の皆さんにはとても熱心に聴講していただきました。特にハンズ・オンは大好評でした。PT・OTを中心とした参加者の皆さんはベルトやヘッドレストなどを患者さんに提供していますが、実際に自分自身にベルトやヘッドレストを装着した経験のある方はほとんどいませんでした。今回は5人ほどのグループに分かれて交互に提供する側とされる側になって、骨盤ベルト、ハーネスベルト、ヘッドレスト、ヘッドサポートなどの機器を体験していただきました。骨盤ベルトに関しては骨盤の傾きによって締め方が異なることも体験していただきました。
 セミナー後に多くの感想をいただきましたが、どれも肯定的で好意的なものばかりで嬉しかったです。特にハンズ・オンはとても好評でした。「筋緊張をコントロールするための骨盤ベルトを強く締めても、位置が適切ならば痛くないばかりか上体が動かしやすいことが確認できた」「骨盤ベルトの締め方で様々な効果が提供できることが分かった」「アラインメントやバランスの提供には個人に合わせた細かい調整が必要なことが分かった」そして一番嬉しかった感想は「しかし何と言っても骨盤の保持が最も大切なことが実体験とともに理解できた」でした。私がこのセミナーを通じて提供したかったことが通じてとても嬉しかったです。このセミナーで体験したことが参加した皆さんの日常の仕事の中で役立って、ひとりでも多くの障害児(者)に適切な姿勢が提供されていくことを願っています。

2007中・上級者向けシーティングセミナー講義1space2007中・上級者向けシーティングセミナー講義2
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2007中・上級者向けセミナー・ハンズオン・セッション1space2007中・上級者向けセミナー・ハンズオン・セッション2space2007中・上級者向けセミナー・ハンズオン・セッション3
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2007中・上級者向けセミナー記念写真space2007中・上級者向けセミナー・ハンズオン・セッション4



ロッククライミングとマーク・ウェルマン
<2007年8月19日>
 今年の24時間テレビでは、昨年までのトライアスロンに替えて脊髄損傷者のロッククライミングが行われました。実は私と24時間テレビの繋がりは長く、私がアクティブジャパンの編集長をしていた十年前に友人の頚髄損傷の女性の遠泳チャレンジをお手伝いしたのをきっかけに、その後のチャレンジャーの人選に協力。トライアスロンへの挑戦を提案して、ハンドサイクルやレーサーを提供したり、人選のお手伝いをしたり、メカニックを派遣したりしました。今年の五月に、何年か続いたトライアスロンのチャレンジに替えて何か新しいチャレンジはないかという話をいただき、脊髄損傷者でロッククライミングのエクスパートである友人を紹介したのも私でした。
 その友人であるマーク・ウェルマンは、ものすごい人で、ロッククライミングのエクスパートであるだけでなく、パラリンピックのダウンヒルのスキーヤーであり、クロスカントリースキーのエクスパートであり、様々なスポーツをこなす超A級のスポーツマンなのです。現在は自分の会社の社長と全米各地でチャリティ・イベントの開催などをしていますが、数年前までは国立公園のレンジャーをしていました。私は彼とアトランタ・パラリンピックで知り合い、その後クイッキーが彼をスポンサーしてイメージキャラクターにしたたことからアメリカの展示会などでよく会うようになりました。私が去年癌の手術をしたこともあって、しばらく会っていませんでしたが、彼の会社に連絡してコンタクトをとってもらい、今回の日本初のロッククライミング・チャレンジを応援してくれることになりました。
 まず僕らは彼の会社から脊髄損傷者のための特殊なロッククライミング・ギアを購入しました。懸垂する要領で自分の体を持ち上げるメカニズムもマークが開発したものです。セットの中に私が日本で総代理店をしているいるジェイが開発したプロテクターというスリング付きの臀部保護用クッションが含まれていたのは嬉しかったです。その後テレビ制作のスタッフが彼から様々なアドバイスを受けて今回のチャレンジャーのトレーニングに役立てました。しかし日本にはロッククライマーのプロはたくさんいても脊髄損傷者を指導できる人がいなかったので、私はマークを日本に招くことを提案しました。当初は予算の関係で難しいと言われましたが、チャレンジ1ヵ月前の七月にマーク・ウェルマンを日本に招いて、長野で実際に指導してもらいアドバイスをもらうことができました。予算の関係でとんぼ返りのスケジュールの中、マークは東京で私と会う時間を作ってくれたので一緒に夕食を食べ、久しぶりにゆっくりと会話を楽しむことができました。写真はその時のものです。24時間テレビ当日はチャレンジが成功するよう祈る気持ちでテレビを見ていましたが、成功してよかったです。マークとの再会も叶ったので24時間テレビに感謝です。

2007マーク・ウェルマンと会食space2007マーク・ウェルマンと記念写真



広島で2回の障害児セミナー
<2007年8月3〜4日>
 五月に広島県で初の大型総合シーティングセミナーを開催しましたが、とても大きな反響をいただき、第二段として広島県立広島特別支援学校と廿日市の重度身体障害者団体TOMの会の依頼で、障害児向けのセミナー兼シーティング体験会を開催することになりました。各セミナーとも朝10時からお昼まで障害児の姿勢とシーティングのお話をして、午後からシーティング体験希望の方達に実際にシーティングを体験していただきました。
 広島県立広島特別支援学校のセミナーは夏季研修会の一環として五日間のプログラムの最終日に開催していただきました。学校外からの参加者も含めてたくさんの方達に集まっていただき嬉しかったです。参加者の方々には、午前中にシーティングの講演を聞いていただいた後、午後の実践の部でシーティングによる姿勢の改善を実際に見ていただきました。体験を希望された数人の障害を持った生徒さんに対して、実際に姿勢の評価を行い、体に合わせてシーティング機器を設定して試していただきました。百聞は一見にしかずなので、このように実際に姿勢が改善されるところを見ていただくことで、姿勢の改善、そして二次障害の防止が不可能ではないことを理解していただけたと思います。各体験者の方に使える時間が30分ずつだったので、とても駆け足になりましたが、みなさんに喜んでいただけて嬉しかったです。
 翌日は、廿日市に移動して重度身体障害者団体TOMの会が主催してくださった障害児向けのセミナーでお話しして、シーティング体験をしていただきました。前日の支援校でのセミナーに参加された方が再度参加してくださったり、前日のセミナーを聞いて急きょシーティング体験を希望された方もいたりして、皆さんの期待や熱意が伝わってきました。シーティング体験では前日同様、姿勢の評価から、シーティング機器を体に合わせて設定して試していただきました。希望の方全員に、私の帰京の飛行機の時間ぎりぎりまでシーティング体験を提供させていただきました。
 シーティング体験に参加された障害児の家族の方々から「側彎はもう悪化を待つしかないと言われていた」とか「二次障害は防止できないと思っていた」とか「側彎が生じ始めたから車椅子に乗るなと言われた」などの声を聞きました。他の地域でも同様の話を聞くことはありましたが、今回は特にそのような声が多く聞かれました。しかしシーティング体験の後に「変形や二次障害をあきらめていたけれど希望が持てた」との声をいただいて、とても嬉しかったです。同時にこれからもシーティングの普及に励んで、ひとりでも多くの障害児(者)をお手伝いしたいという決意を新たにしました。
 シーティング体験会やセミナーの開催依頼・参加希望はいつでも受け付けています。東京では無料のシーティング体験であるシーティング・クリニックも予約制で行っていますのでぜひ問い合わせていただき、今回の参加者の方達が体験したことをひとりでも多くの方が体験して、一日でも早く障害を持ったお子さんの二次障害の予防や悪化防止をはじめていただけたらと願っています。

2007広島特別支援学校セミナー講義space2007広島特別支援学校シーティング体験


長崎県パーキング・パーミット(身障者用駐車場利用証)制度スタート
<2007年8月1日>
 パーキングパーミット制度が新たに長崎県でスタートしました。昨年2006年7月7日に私が企画提案した日本初のパーキングパーミット制度が佐賀県でスタートして約1年1ヵ月、山形県に続いて三県目です。佐賀県の隣の県である長崎県でスタートしたことで面としての広がりが出てきました。現在福岡県でも制度の導入を検討中とのことですが、福岡と北九州という二つの政令指定都市との調整にてこずっているようです。しかし福岡県で始まれば九州の北側が網羅されるので、パーミットの使用者の相互利用が現実的になります。さらに年内には熊本県でもパーキングパーミット制度がスタート予定です。一日でも早く残りの大分・宮崎・熊本でも制度をスタートさせて九州の身障者をはじめとする歩行に障害のあるドライバーが安心して移動して駐車できる環境を作りたいと願っています。大分・宮崎・熊本の各県の関係者の方々、ぜひよろしくお願いいたします。必要でしたらいつでもお手伝いする所存です。
 九州以外でも7月にスタートした山形県に加え、福井県でもパーキングパーミット制度が年内にスタート予定です。佐賀県には他の県の自治体・県会議員そして障害者団体から問合せが多く届いており、パーキングパーミット制度が確実に広がっていくと予想されます。今後は相互利用できるような実施県での協定の作成も進めたいと考えています。



Do-Itプログラムで講演
<2007年7月28日>
 7月25日〜29日の5日間に東京駒場の東京大学・先端科学技術研究センターで開催された「DO-IT Japan障害のある高校生,高卒者のための大学体験プログラム(進学を成功させるために今君たちがすべきこと)」で講演をしました。このプログラムは米国のワシントン大学で開催されているDO-ITプロジェクトの日本版で、ワシントン大学との国際連携活動を進めながら開催されました。
 参加者は、大学進学を目指し,将来社会での活躍を希望する障害のある高校生または高卒者。5日間の大学生活体験を通して、進学を成功させるカギとなる事柄を学ぶものです。プログラム定員は約10名ですが、最終日前日のレセプションには、DO-ITスカラー,DO-ITメンター,特別聴講生,ワシントン大学学生など多くの人達が参加して交流するので、その直前に行われた私の特別講義にもたくさんの障害を持った高校生とその家族が集まってくださいました。
 障害を持つ若者への講演は久しぶりだったので、講義内容について試行錯誤しましたが、私の経験を踏まえた話というご依頼でしたので、「弱点を強さに変えて成功を目指す」と題して私自身の経験と活動についてお話ししました。
 思い起こしてみると私の人生には、6歳のころの小児喘息、15歳の時の髄膜炎、19歳の時の脊髄損傷、その後に何度も悩まされて入退院を繰り返した褥瘡、そして昨年の膀胱癌による膀胱全摘とストマ形成と様々な病気や障害が起こりました。しかし小児喘息を水泳で克服して水泳の選手になったり、脊髄損傷になって車椅子の輸入会社を興したり、褥瘡の経験からシーティングを勉強して普及活動に努めるようになり、膀胱癌でストマ使用者になったことで内部障害者の気持ちもちょっとだけ分かるようになりました。簡単に言うと「転んでもただでは起きない」という人生。「弱点を強さに変えて成功を目指す」人生だったので、そんなお話をさせていただきました。
 講演後には聴講してくれた多くの障害を持った高校生や家族とお話しすることができ、久しぶりに頑張っている若者達と交流することができて刺激をもらうとともに、楽しい時間を過ごすことができました。私の話が少しでも彼らの人生に役立ってくれれば嬉しいです。

2007Do-Itプログラム講演1space2007Do-Itプログラム講演2



岩手シーティング研修会2007
<2007年7月25日>
 岩手県にシーティングを普及するために、岩手全域の病院・施設のセラピストを対象にシーティング研修会を行うこととなり、参加募集をかけたところ200席がすぐに満員になり、何人もお断りせざるを得なかったとのお知らせをいただき、嬉しさよりもお断りした方々にとても申し訳ない気持ちでした。会場となった岩手県国保会館の大会議室は消防法の制約もあって席数数以上の人数は会場に入れないそうです。今回のセミナーは五時間という長い総合セミナーだったので、実際立ち見は不可能だったでしょう。しかし今回のセミナーは岩手県全域の障害者や高齢者に関わる方たちにシーティングについて知っていただき、次の段階である各地のセミナーに繋げることが目的なので、今回参加できなかった方たちには、各地のセミナーに参加していただければ幸いです。
 セミナーでは、重力の影響から、二次障害についてお話しし、車椅子設定とシーティングの基本についてお話しした後、骨盤の陥りやすい悪い傾きとその影響についてお話しし、その対応についてご説明しました。その後、褥瘡の予防と再発防止についてお話しました。クッションの選択方法、褥瘡にならない車椅子上での姿勢、圧分布測定器の活用などについて症例をまじえてお話しました。予定では障害児のためのシーティングについてもお話しすることになっていましたが、セミナーの最初に参加者が携わっている患者さんについてお聞きしたところ、成人障害者と高齢者だけで、珍しいことに障害児関係者が全く参加していなかったので、セミナーの内容を急遽変更して高齢者を中心に詳しくお話しました。  セミナー終了後には、既にセミナー開催を希望する施設が現れ、参加された皆さんのポジィティブな反応がとても嬉しかったです。次回のセミナーは、実際に車椅子を使われている方達に参加していただき、その場で姿勢と車椅子の評価を行い、シーティングの処方を行う実践的な研修会を予定しています。

2007岩手県盛岡シーティング研修会1space2007岩手県盛岡シーティング研修会2


キッズフェア2007でのセミナー
<2007年7月8日>
 毎年参加している障害児とその家族のためのイベントと福祉機器展示会であるミプロ・キッズフェアから講演の依頼を受けて障害児向けのシーティングについてセミナーを開催しました。会社としては様々な年齢と障害の方に対応していますが、私自身は最近障害児に関する仕事が多く、このひと月だけでも養護学校と重度障害者通所施設からの依頼で障害児向けのセミナーを開催し、何人ものシーティング・クリニックの依頼をお受けして対応しました。ひとりでも多くの障害児の保護者や関係者に姿勢について理解していただき、一日でも早く障害児に適切なシーティングで姿勢保持を提供し、変形をはじめとする二次障害の発生を防止をしたい、というのが私の願いなので、このような機会が増えることは嬉しい限りです。今回のキッズフェアでのご依頼も喜んでお受けしました。
 セミナー当日会場には、入りきれないほどの障害児の家族に集まっていただきました。大感謝です。講演時間が一時間半だったので、ダイジェスト版で障害児の姿勢とシーティングについてお話ししました。トピックは二次障害や重力の影響について、そしてその対応方法などです。参加者の大半を占めていた障害児の保護者の方達にはとても真剣に聴講していただき、講演終了後には「初めて何が必要か分かった」「不可能だと思っていた二次障害の防止に希望が持てた」などの感想をいただいて嬉しかったのですが、中には「私がしていて事は全て間違っていたことが分かった」というショッキングな感想もあり、私の仕事への使命感を改めて感じました。
 講演終了後には、弊社のブースに聴講した方々が障害を持ったお子さんと共に集まっていただき、私とスタッフはできる限り多くの方々にシーティングを体験していただけるよう提供し、シーティングによる変化を体験していただました。皆さん良い変化が生まれましたが、左右にせわしなく動かし続けていた足の不随意運動がシーティングによってコントロールできたり、高い緊張で上に上がりっぱなしだった手がシーティングによって下に降りた時には「こんなことは初めてだ」と親御さんも興奮されて喜んでいました。さらに細かく丁寧なシーティング体験をご希望された方には、私がシーティング・クリニックで対応したり、社員がお宅や学校に伺って対応するお約束をしました。講演終了後からイベント終了までの時間は、多くの方のシーティング体験を提供して目まぐるしい忙しさでしたが、皆さんに喜んでいただいて充実感いっぱいの一日でした。

2007キッズフェア障害児セミナー1space2007キッズフェア障害児セミナー2



山形県身体障がい者等用駐車施設利用証制度スタート
<2007年6月15日>
 昨年2006年7月7日に私が企画提案した日本初のパーキングパーミット制度が佐賀県でスタートして約1年、ついに二県目のパーキングパーミット制度が山形県でスタートしました。佐賀県で制度をスタートさせてから、ほとんどすべての県といくつかの政令指定都市から佐賀県に問い合わせがあり、その多くが佐賀県を訪問して視察し、制度の説明を受けたと聞いていました。その中でも最も早く対応していた山形県ですが、6月15日に新制度の運用を開始しました。とても嬉しいニュースで、これからも多くの県に広まることを願っています。
 山形県の制度については、私はまったくお手伝いしていないのですが、パーミット(利用証)のデザインは佐賀県と同じ。グリーンの利用証が障害者・高齢者・難病者向けで、オレンジの利用証が怪我人や妊産婦等の一時的な歩行困難者向けの利用証であることも佐賀県と同じ。パーキングパーミットについて理解していただくために統一感があって良いと思いました。唯一残念なのは、佐賀県の利用証には「身障者用駐車場利用証」と書かれた下に英語で「Parking Permit」と記載されていますが、山形県の利用証には「身体障がい者等用駐車施設利用証」と記載されているだけで「Parking Permit」の記載はありません。さらに佐賀県の利用証の下部には「佐賀県」の下に「Saga Prefectural Government」と英文記載がありますが、山形県の利用証には「山形県」としか記載されていません。日本の利用証になんで英語が必要なのかと思われる方もいると思いますが、実はこの英文記載は海外旅行のためなのです。
 北米をはじめ欧米諸国のほとんどの国には身体障害者用パーキングパーミット制度があります。特に北米は身障者用駐車スペースがどんな店や施設にもあるほど素晴らしく整備されています。さらに下肢障害者用のハンドコントロール(手動運転装置)付きのレンタカーも充実しています。だから車椅子の者にとっての旅行先として素晴らしい国なのです。ところが日本からの旅行者はパーキングパーミットを持っていないので、これらの身障者用駐車スペースを使用することができませんでした。パーミットが提示されていなければ違反車両と見なされ、違反車両には高額な罰金とレッカー移動が待っているのです。
 そこで私が米国大使館に問い合わせたところ、米国の各州は海外のパーキングパーミットの使用も許可するとの回答がありました。しかし当時はパーキングパーミットが存在せず、唯一存在した「駐車違反除外指定車」の標章には漢字しか書かれておらず、海外ではパーミットとして見なされませんでした。そんな理由と欧米の身障者用駐車場を使用したいと言う日本の身障者の声から、私が佐賀県のパーキングパーミットのデザインを考えた際に理由を話して英文表記を記載してもらったのです。
 山形県の方達はそこまで考えなかったのでしょう。これを受けて私は佐賀県のスタッフに相談。ある程度の数の県がパーキングパーミット制度を導入したら、日本身障者用パーキングパーミット連盟のような組織を作って「Japan Parking Permit(日本国身障者用駐車場利用許可証)」と書かれた公式シールを利用証に貼ることで海外での使用を可能にしようと話しました。この件についてはまだ正式ではありませんが、ぜひ実現させて、日本の障害を持つ方達の海外旅行を楽で楽しいものにできたらと考えています。
 写真は山形県の利用証が入手できなかったため佐賀県の利用証と専用駐車スペース用標識です。山形県の関連ホームページはこちらから。

佐賀県パーキングパーミット障害者用space佐賀県パーキングパーミット妊婦怪我人用用space佐賀パーキングパーミット標識



かげがえのない友人の死
<2007年5月18日・5月24日・6月12日>
 突然の訃報が飛び込んできました。5月18日にツーリズムマーケティング研究所所長で「もっと優しい旅への勉強会」顧問であった草薙威一郎さんが逝去。12年前の1995交通ボランティア講座で出会い、1997に開催された日本経済新聞社の「バリアフリーシンポジウム」で一緒にパネリストを務め、親しくさせていただいていました。AMITA(アクセシブル盛岡in東京)には1999年から一緒に参加し、2002年に私が「もっと優しい旅への勉強会」で講演して親交が再開。私自身の海外旅行のアドバイスをもらったこともありました。去年と一昨年は(2005〜2006)ユニバーサルデザイン・アドバイザリーコミッティのメンバーとして一緒に恵比寿の建物のUD化のコンサルティングをして、頻繁にお会いしていましたが、まさか二月末の会議でお会いしたのが最後となるとは思ってもみませんでした。
 草薙さんの逝去から一週間も経たない5月24日に大親友の突然の死がありました。そして3人目は私を盛岡と岩手を大好きにさせてくれた久木田禎一さん。昨年お会いした時に、ほぼ同時期に癌の手術を受けたことを話し、完治した私に対して、まだ治療が必要と言っていた久木田さんでした。今年の夏の再会を約束していたのに、約束まであと一ヶ月半という時に食道癌のため亡くなってしまいました。昨年の夏、私のことを車で送ってくれたのが最後だなんて考えもしませんでした。都市計画の専門家で盛岡や岩手の街づくりや活性化に深く関わってきた久木田さんとは1997年に盛岡で開催されたシンポジウムの後の集まりで紹介され、意気投合して、盛岡市や水沢市のバリアフリー事業をお手伝いしたり、彼のNPOの理事を務めさせていただいたりしました。しかし久木田さんとの思い出は仕事以外にもたくさんあります。私が仕事で岩手に行く度に、盛岡、一関、水沢、遠野、安比などの様々な場所に私を案内、さらに音楽好きの久木田さんは私を盛岡の色々なライブハウスに連れて行ってくださいました。私が大好きなギタリストの三崎ともやすさんの「もんどりあん」、サックスの西部さんのすぺいん倶楽部、一関のベイシー等々、楽しい思い出と出会いは久木田さんのおかげでした。縁が合って盛岡や岩手をお手伝いする機会が増えていますが、その盛岡と岩手を大好きにさせてくれた張本人が久木田さんでした。
 日本の障害者の旅行のための道を作った草薙さん、岩手と盛岡の変革の立役者であり、岩手を本当に愛して止まなかった久木田さん、そして私の大親友。こんなに素晴らしい人達、こんなに良い人達、私にとってかけがえのない人達が何でこんなに早く・・・と考えてしまいます。悔やんでも悔やみきれませんが、あとは彼らの意思を引き継いで私ががんばっていくしかないと感じました。(写真は久木田さんを偲ぶ会での三崎さんと西部さん)

久木田さんを偲ぶ会での三崎さんspace久木田さんを偲ぶ会での西部さん



広島初の大型セミナー
<2007年5月19日>
 広島県で初の大型総合シーティングセミナーを開催しました。全国的に見るとなぜか中国地方からはシーティングの依頼が少なく、広島県では以前広島市の病院で一回講習会を開催しただけでした。今回広島地域の代理店が充実したことを受けて、広島初の大型総合セミナーの開催となりました。会場には障害児から高齢者まで様々なレベルの障害者と携わっているリハビリ、医療、介護、福祉関係者の皆様に多数集まっていただきました。
 セミナーでは、シーティングの基礎についてお話しした後、骨盤の傾きによる様々な問題とその解決方法についてお話ししました。さらに高齢者や脊髄損傷者にとって切実な褥瘡の予防と再発防止のためのシーティングについてお話しし、脳性麻痺を中心に障害児にとって深刻な変形・緊張・拘縮・脱臼の予防や悪化防止についてもお話ししました。最後に二次サポートと呼ばれるポジショニングベルトとヘッドサポートの活用についてお話しして私の講演は終りました。その後に事例発表として広島でシーティング・システムを使ってとてもうまくいった障害児の症例を担当されたPTの方に発表していただきました。
 セミナー修了後、多くの参加者の方達からシーティングセミナーとシーティング体験会の依頼を受けました。これを機会に広島県から中国地方ににもシーティングが普及し、ひとりでも多くの車椅子使用者が二次障害を予防して車椅子に快適に長時間乗れるようなって自立生活と社会参加が可能になる事をお手伝いできたらと願っています。

2007広島総合シーティングセミナー1space2007広島総合シーティングセミナー2



公開対談
<2007年4月21日>
 「いきいき」という雑誌で以前車椅子について講演したことがありました。その時に知り合った臨床心理学博士の堀越先生が公開対談を行って、雑誌に記事として公開するということで第1回の対談相手に私を選んでいただき、公開対談を行いました。対談とタイトルは「喪失を考える」。考えてみると私は人生でいくつもの事故や病気に遭い、失ったものもたくさんありました。中学生の時に突然発症した髄膜炎では半年の入院して留年せざるを得ませんでした。その後の米国留学で1年半が経った順風満帆なときに起きた転落事故によっての脊髄損傷と下半身の麻痺。その後褥瘡に何度も悩まされ、7回の手術と延べ二年間の入院。さらに昨年は膀胱癌の発見と手術。ストマ使用者になりました。もしかしたら対談を企画された方は私が落ち込んだところからどう立ち直ったのかが聞きたかったのかもしれません。しかし思い出してみるとどの時も私は落ち込みませんでした。
 さすがだったのは堀越先生。公開対談中に進路を変えて「なぜ私は落ち込まなかったのか」を臨床心理学の分野から分析してくださいました。その答えは、私は何かが自分の身に起こると、解らないことや疑問に関して情報を収集しまくる。そして自分の心配が溜まって落ち込む前に心配の種を取り除く答や選択肢を見つけてしまう、というものでした。確かにそうかもしれません。脊髄損傷の事故の時は病院のスタッフが情報を提供してくれたのがきっかけでしたが、自分ができる事に関して様々な情報を収集した思い出があります。膀胱癌が発見された時も、2つの病院に入院して検査し、他の二人の医師からセカンドオピニオンをもらい、納得して病院と手術を選択することができました。膀胱を全摘してストマになると言われた時も最初は意味が分からずショックでしたが、ストマとは何か?仕事をする上で問題が生じるのか、水泳やダイビングはできなくなるのかなど調べまくりました。(癌研有明病院のWOCナースの方々にはたいへんお世話になり多くの情報を提供していただきました。)だから安心して手術が受けられたのだと思います。実は膀胱癌の手術の時に右手の神経が圧迫されていて、手術後に右手の一部が麻痺してしまい、痺れと痛みで大変苦労しました。その時もペインクリニックやリハビリ病院を見つけて入院して様々な方法を試して痛みを除去し、機能を回復することができました。人生色々なことが起きるものです。しかし情報によって心配はなくすことができます。こんな私の体験も皆様の何かのお役に立てば幸いです。

2007いきいき公開対談1space2007いきいき公開対談2



シーティング・クリニック2007
<2007年3月9日>
 当社の営業担当者は毎日のように施設や個人のお宅に伺ってシーティングのお手伝いをしていますが、東京本社では、予約制で無料のシーティング相談とシーティング体験ができるシーティング・クリニックを開催しています。来社される方には、シーティングを初めて体験する方とシーティングの調整のために来社される方がいます。
 悪い姿勢をとっていると、体の変形をはじめとする二次障害が成長期に成長とともに急激に悪化します。私は特に3歳頃と9歳頃の成長期の前に正しいシーティングで姿勢を改善することを保護者の方々にお奨めしています。シーティングの提供後も、特に年齢が低い時期は成長や変化に合わせてシーティングを細かく調整することが大切です。
 この日は低酸素性虚血性脳症の3〜7歳のお子さんたちがシーティングの調整のために来社されました。ヘッドサポート(頭部保持)の微調整、バック(背面)サポートの調整、ベルトの調整、フットレスト(足台)の角度の調整などを行いました。今回来られた方達は定期的に来社していただいているので、問題がないように確認することができ、成長にぴったり合わせたシーティングが提供できるので安心です。シーティングの効果もあって、姿勢が悪くならずに成長されているのを確認できて嬉しかったです。姿勢がよくなっているお子さんもいらっしゃいました。このような形で継続してサポートして行ければ二次障害の防止ができます。是非もっと多くの方達にシーティングの効果を体験していただきたいと願っています。
 シーティング・クリニックのお問い合わせは こちらから。

2007シーティング・クリニックの様子



ものづくり立国シンポジウム2007
<2007年2月4日>
 開催まで一年を切った2007年ユニバーサル技能五輪世界大会の周知活動のひとつとして全国を回っている「日本縦断!!『ものづくり立国』シンポジウム〜技がひらく!ニッポンの未来」が大阪の松下IMPホールで開催されました。このシンポジウムでは、大会に関するパネル展示、前週に札幌で開催されたシンポジウムにおける技能実演の映像上映、今年の大会に向けて制作されたビデオ「めざせ!技の金メダル」の上映、技能者による実演、堀田力氏の基調講演、そして私が参加したパネルディスカッションが行われました。
 実演を行ってくださったのは、国内大会で優勝してして国際大会の代表選手に選ばれたお二人。アビリンピック代表コンピュータプログラミング競技の富高孝一さん(脊髄損傷者)と技能五輪代表・機械組立て職種の谷口昌太郎さん(健常者)。2人のトップ技能者の巧みの技に来場者は驚き、感動していました。皆さん是非11月14日〜21日の大会にご来場ください。感動すること間違いなしです。
 パネルディスカッションは、基調講演をされたさわやか福祉財団理事長で弁護士の堀田力さん、洋菓子の世界大会で3度の優勝経験を持つカリスマ・パティシエ辻口博啓さん、障害者を中心に運営される企業を自ら提案して実現させたYKK六甲(株)代表取締役社長の江口敬一さん、そして私。 コーディネーターは、今年の大会の総合プロデューサーである残間里江子ざんで行われました。パネルディスカッションの最後に、一人でも多くの人にものづくりやその技能に興味を抱いていただくために、各パネリストがキーワードを書いて一言ずつ提言を行った。私が書いたのは「技で障害を消す」。それは、障害があっても究めた技術を持っていれば周囲がその人の障害を忘れてしまう、ということで、私の経験や知人で顔にあざのある方の実例と共にお話しさせていただきました。シンポジウム終了後に実演者の富高さんから私の言葉に賛同をいただいてとても嬉しかったです。

2007ものづくり立国シンポジウム1space2007ものづくり立国シンポジウム2



全国肢体不自由児養護学校PTA連合会講演
<2007年1月25日>
 全国肢体不自由児養護学校PTA連合会から依頼をいただいて、東京で開催された中央研修会で講演しました。参加していただいたのは全国の肢体不自由児養護学校のPTA会長さんたちと校長先生。最近、養護学校で障害児のコミュニケーション機器を中心としたAT機器の活用が進められていることを踏まえて今回は「コミュニケーションを成功させるための姿勢保持」と題して障害児の残存機能を最大限に発揮するための車椅子上での姿勢についてお話ししました。障害児の二次障害の予防と重力と姿勢の関係についてお話しした後、様々な姿勢の傾向と問題点、そしてその対策について症例と共にお話ししました。障害児の姿勢の問題が車椅子シーティングによって改善可能なこと、姿勢の違いでコミュニケーションに大きな変化が生まれることを、まだご存じなかった方達にも知っていただくことができて嬉しかったです。

2007全肢P連・講演1space2007全肢P連・講演2



佐賀大学シーティングセミナー2007
<2007年1月13日>
 佐賀県でシーティングの普及を進めていらっしゃる佐賀大学医学部・地域医療科学教育研究センター福祉健康科学部門の松尾清美先生のご依頼で、佐賀県では初めてのシーティングセミナーを開催させていただきました。今回のセミナーは佐賀大学で開催されたモビリティシンポジウムの一環で。午前中に私の車椅子シーティングセミナー、午後に交通バリアフリーに関するシンポジウムが開催されました。佐賀といえばいつもはユニバーサルデザインのために訪れますが今回はシーティングの方を担当しました。佐賀県では、張り調節の背布を使用したシーティングに関しては既に松尾先生が普及活動をされ、シーティングクリニックを開催して実践していらっしゃるので、今回の私のシーティングセミナーは「ソリッドバック、ソリッドシートを使用したシーティング」と題して北米を中心に世界的に使用されているソリッドバックとソリッドシートを使用したシーティングについて講義をさせていただきました。セミナーには車椅子使用者を含めた80名ほどの様々な職種の方達が佐賀県と長崎県を中心に集まってくださいました。まずはシーティングの基礎についてお話しした後、骨盤の傾きによる様々な問題とその解決方法についてお話ししました。今回は高齢者と介護関係者から成人障害者そして障害児に携わる方まで様々な方達が参加してくださったのでセミナーの最後の30分は褥瘡予防と再発防止、そして障害児と重度障害者のためのポジショニングベルトとヘットサポートのプレビューをして、詳しくはまた次回に行うことを約束してセミナーを終えました。
 セミナー修了後、多くの車椅子使用者の方達からシーティングの依頼を受けましたが、今回はひとり骨形成不全の女性にシーティング体験をしていただきました。足の外転と体を回旋してかたむけて座る傾向のある方だったので座面の調整と背面に合わせたシーティングを行いました。シーティング後にはとても快適になり自分で車椅子が押せるようになったと言っていただき、その車椅子で午後の交通シンポジウムを聴講していただきました。これを機会に佐賀県や長崎県にもシーティングを普及し、ひとりでも多くの車椅子使用者の方達が快適に車椅子に長時間乗れるようなって自立生活と社会参加が可能になる事をお手伝いしたいです。

2007賀大学シーティングセミナー1space2007賀大学シーティングセミナー2space2007賀大学シーティングセミナー3



ATACカンファレンス2006
<2006年12月1〜3日>
 障害者と高齢者の自立した生活を助ける電子支援技術(e-AT)とコミュニケーション支援技術(AAC)の普及を目的に20年前に始まったATACカンファレンスが今年も京都で開催されました。セミナー,実践紹介,疑似体験,展示会など、盛りだくさんの内容で、初心者向けから専門家向けまで盛りだくさんのセッションが今年も提供されました。最近のATACはAT(障害者支援技術)の中でも、電子支援技術(e-AT)が中心となっていたため、私の会社も電子支援技術部門のみが参加していましたが、今年は依頼をいただいてプレカンファレンスにてシーティングのセミナー講師をしました。今回のセミナーは朝10時から夕方5時まで、という6時間セミナーだったので、姿勢の基本から二次障害について午前中にお話しし、午後には、骨盤と姿勢の関係とその改善方法について症例を交えてお話しした後、ポジショニング・ベルトとヘッドサポート等の二次サポートを使用した重度な障害への対応までじっくりとお話しすることができました。長丁場だったのにも関わらず、参加者の皆様には最初から対語まで熱心に聴いていただきました。
 カンファレンスでは弊社の電子支援技術部門がコミュニケーションに関わる3つのセミナーを開催しました。どのセミナーも会場に入りきれないほどたくさんの方にお集まりいただき嬉しい悲鳴でした。ボードメーカーインテリキーのセミナーでは、実際に活用されている養護学校の先生や障害児のご家族が成功事例について発表してくださいました。実例なのでとても役立つセミナーだと好評でした。
 カンファレンス開催中に行われた機器展示でもブースを出して製品の説明を行いました。今年は、弊社の車椅子とシーティングで良い姿勢を保ち、コミュニケーション機器で学校の勉強から講演まで行っている淡路島の小橋弘照君がデモをしてくれました。弘照君は脳性麻痺による四肢麻痺で顎でスイッチを押すことで、コミュニケーション機器を使っていますが、機器を完璧に駆使して使いこなしている姿に来場した方々も感動していました。弘照君は我々がお手伝いした大成功例のひとりなので、機会があればロールモデルとしてコミュニケーション機器のデモをしていただいています。重度の障害があってもこんなに素晴らしい活動ができること、修学・就業も可能な事を弘照君は自ら示してくれています。これからも弘照君が活躍していくことをサポートしていきたいと考えています。(写真上段はシーティングセミナー。下段左はコミュニケーション機器の講習会、右の2枚はブースでデモをする弘照君です。)

2006ATACカンファレンス・シーティングセミナー1space2006ATACカンファレンス?シーティングセミナー2
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2006ATACカンファレンスeATセミナーspace2006ATACカンファレンスでの小橋君space2006ATACカンファレンス・ブース・デモンストレーション



大学での講演
<2006年10月5日、11月17日>
 10月に東京の法政大学、11月に名古屋の名城大学で講演しました。法政大学は今年で4回目となる恒例の講演。最初はロボット技術の福祉利用を目指す学生さん達への講演でしたが、だんだん対象が拡がって、今年は技術系から福祉系まで様々な分野の学生さんに聴いていただきました。講演会場は千代田区九段のキャンパスでしたが、他の2つのキャンパスにも中継されました。今年は「高齢者と障害者の自立支援における道具の考え方」と題して自立のための道具の駆使とユニバーサルデザインについてお話ししました。
 名城大学の講演は、褥瘡なおそう会でのシーティングセミナーを聴講した薬剤師兼ケアマネージャーのMさんに推薦いただいたものでした。褥瘡予防のための車椅子の座り方の大切さ、褥瘡治癒後の車椅子での褥瘡再発予防にシーティングが不可欠だと、私の考えに賛同してくださったのです。ご自身が薬剤師を目指す学生達に褥瘡の治療について教えている方なので、学生の時から薬の知識にプラスしてシーティングについて知っておくことで絶対に将来役に立つという考えからでした。学生さん達も最後まで真剣に聴いてくださって嬉しかったです。
 名古屋でごちそうになった本場のひつまぶしはとても美味でした。一人前ずつでなく、おひつで運ばれてきたので、勧められるままに何度もお代わりをいただいて満腹でした。

名城大学講演1space名城大学講演2space名城大学講演3



国際福祉機器展・HCR2006
<2006年9月27〜29日>
 HCRが今年も東京ビッグサイトで開催されました。今年も海外の取引先とのジョイントブースですが、今年は他社のブースから独立したアイランド型のブースにしました。今年の目玉は、シーティングをはじめとした製品や技術を一般の来場者に、より分かりやすく理解していただくためのショー形式のイベントです。来日した取引先の担当者にもショーに参加してもらい、質問等に答えてもらいました。実演や体験を含めたショーを3日間で13回実施し、とても好評でした。
 私は今年もセミナーの講師を務めました。初日は車椅子による褥瘡予防と再発防止、2日目は障害児の二次障害防止のためのシーティングについてお話ししました。どのセミナーも立ち見が出るほどの超満員になり、嬉しかったです。会場に入れずにお帰りになった方のため今後も同様のテーマのセミナーを開催していく予定です。シーティングの普及活動をはじめてから今年で13年。シーティングに対する関心は高まる一方です。これからも更なる普及と車椅子を使用される方の問題解決のために尽力していきます。
 今回もアクセスのブースでは来場された方に多くの体験をしていただきました。(シーティングの体験、電動車椅子やスタンディング機器の体験、圧分布測定器による座圧測定と実際に圧のかかっている箇所の視覚的な確認等々)今年は私が手術や入院をしたことを知って来場された方も多く、元気な姿をお見せすることができ、安心していただきました。今年も休む時間もないほどの大盛況ぶりに大感激の3日間でした。ブースにおいでいただいたみなさん、ありがとうございました。

HCR2006アクセスブースspaceHCR2006アクセススタッフ
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HCR2006セミナーspaceHCR2006ショー



盛岡初の福祉機器展
<2006年8月27-28日>
 盛岡初の福祉機器展「発見!!生き活きライフ展〜まんずねまって!2006in盛岡」が開催され、基調講演として「寝たきりにしない車椅子シーティング」についてお話ししました。福祉機器展の副題の「まんずねまって」とは地元の言葉で「まぁここに座って」と来客をねぎらう言葉だそうです。「座って」というのが「シーティング」に通じるように感じました。盛岡市と岩手県ではユニバーサルデザインの考え方を普及させるために何度も講演したことがあり、駅周辺のバリアフリーの懇話会の委員を務めたこともありますが、シーティングについてはあまりお手伝いしていなかったので、今回お話しすることができて嬉しかったです。3時間という長い講演にもかわらず、参加者の方には興味を持って最後まで聴いてくださいました。
 「県と語ろう」と題された鼎談にもパネリストとして参加させていただいて、佐賀県で導入したパーキングパーミット制度などについてお話ししました。今回、駅周辺のユニバーサルデザイン化のお手伝いをして、盛岡駅と駅周辺が新しくなってから初めて盛岡駅を使用しましたが、メインストリームの動線で新幹線の乗り降りができ、売店をはじめとした駅構内の施設も格段に使いやすくなっていてとても嬉しかったです。駅の片隅のエレベーターからホームの端まで走って新幹線に乗っていた昔が懐かしく感じました。
 今回の展示会は盛岡の身障者・福祉関係の方々が集まって作り上げた岩手初の福祉機器展でしたが、展示に加えて、福祉用具体験会、電動車椅子試乗会、街づくりのシンポジウム、車椅子バスケットのフリースロー・トライ、ダンス発表、作業療法士相談コーナーなど、盛りだくさんでした。これから回数を重ねていって東北を代表する福祉機器展になっていく予感がしました。(ごちそうになった焼肉と冷麺はとても美味しかったです。何度食べても盛岡の冷麺は美味しい!)

盛岡福祉機器展・基調講演space盛岡福祉機器展・公開対談



ユニバーサルデザイン講演会2006
<2006年8月11日>
 来年11月に静岡県で開催されるユニバーサル技能五輪国際大会のユニバーサル監修プロデューサーとして直面している最大の問題は静岡県のバリアフリーなホテル客室の少なさがあります。これは静岡県に限ったことではなく、全国を見回しても大都市以外ではバリアフリーな客室数は1〜2室しかない県がほとんどです。驚くべきことに国体の後の全国障害者スポーツ大会やアビリンピックのホスト県も同様であり、中には車椅子対応の部屋が皆無という県もあります。全国の都道府県から車椅子選手が集まる大会なのにいったいどうやって対応したのかというと、参加者が無理をして何とか対応しているのが現実です。私自身十数年前に全国障害者スポーツ大会に選手として参加したことがありますが、当時も参加する車椅子選手の数だけバリアフリーな客室を用意することができず、車椅子の選手は入浴やトイレを使うために床に降りて這って対応していた思い出があります。「アスリートなんだから自分で何とかしろ」という風潮さえありました。しかし来年の大会はスポーツではなく職能を競う大会であり、無理をして選手が怪我をして大会後の仕事や生活に影響が出ては困ります。大会期間中快適に過ごしてもらい、ベストなコンディションで競技に参加してもらうというのが私の希望です。
 静岡県のバリアフリーな客室を増やすために考えたのが今回の講演会です。目標である100人の車椅子選手が泊まれる客室を作るためにはハートビル法や街づくり条例の規制では不十分。そこで宿泊施設関係者に集まっていただき、この機会にバリアフリーな客室を作ることで大会後もユニバーサル・ルームとして使用でき、高齢化社会の流れの中で顧客獲得にも必ず役に立つ、ビジネスとして成り立つということを「ユニバーサルデザイン化でリピーター率100%」と題してお話ししました。講演の中では低予算で簡単にバリアフリー化する方法や小さい客室でも車椅子で使用できることなどについてもお話ししました。
 多くのホテル関係者に集まっていただき、実際にホテルの中でユニバーサルデザイン化のアドバイスも行いました。静岡県は来年の大会のために施設をユニバーサルデザイン化するホテルのために助成金を提供してくださることになりました。このふたつの相乗効果で来年の大会までに100人の車椅子選手が泊まれる客室を作ることを目指します。長野のパラリンピックでも他の大きな障害者の大会でも達成できなかった目標ですが、ぜひ達成して新しい日本の標準にできればと考えています。

静岡ユニバーサルデザイン講演会1space静岡ユニバーサルデザイン講演会2



褥瘡なおそう会講演
<2006年7月16日>
 大阪で開催された、第15回褥瘡なおそう会で褥瘡予防と再発防止のためのシーティングについて2時間の講演をさせていただきました。この会は全国の医師・看護師・薬剤師で褥瘡の治療に特に熱心に取り組んでおられる方達の集まりです。私は、8年前の1998年に滋賀県で開催したセミナーに参加された褥瘡なおそう会代表のF先生のご依頼を受けて翌年愛知県で開催された第7回大会で初めて講演をさせていただきました。これがきっかけとなってシーティングについて看護雑誌に記事を書かせていただきました。その後も2003年に開催された褥瘡なおそう会の第2回関東支部会でも講演させていただきました。
 そんなことから、知っている方、懐かしい方達にお会いすることもできて、とても楽しい会でした。講演も好評でした。その後に行われたグループ・スタディにもオブザーバーとして参加させていただきました。このグループスタディは、参加者の皆さんが実際のケースを持ち寄って意見を交換するするというもので、褥瘡なおそう会の特徴のひとつでもあり、この会をとても臨床に役立つ勉強会にしている理由だと思います。治療についてF先生が、薬剤についてH先生がアドバイスし、私は車椅子が関連する(または車椅子で治すことのできる)ケースについてアドバイスをさせていただきました。
 その晩に行われた懇親会では参加者の方達がひとりひとり自己紹介をしたのですが、その時に何人もの方達が、私がお手伝いした患者さんが今でも元気に車椅子で活動されていることを話してくださいました。とても嬉しかったです。このようなお話を聞くことが私の生き甲斐であり、さらなるやる気につながります。これからも褥瘡で困っている車椅子の方達をひとりでも多くお手伝いできればとあらためて思いました。



日本初パーキングパーミット制度スタート
<2006年7月7日>
 私が佐賀県のユニバーサルデザイン推進プロジェクトの目玉として進めてきた身体障害者パーキングパーミット制度が遂に完成してスタートしました。身障者用駐車場の違法駐車は車椅子使用者にとって大問題です。心ない人達の違法駐車はもとより、市販の車椅子マークを車に貼って健常者が違法駐車する事件さえ頻発しています。しかし今まで根本的な解決策は考えられませんでした。私は問題の根源は、身障者用駐車場に駐車するための基準がないことだと考えました。欧米にはパーキングパーミットと呼ばれる駐車許可証があって、身障者ドライバーはこの許可証を提示することで身障者パーキングに駐車することができます。反対に身障者ドライバーでも許可証の提示がなければ違法駐車と見なされてレッカーされることさえあります。これは義務と権利をベースとした考え方で、これがあるからこそ身障者用パーキングが上手く運営され、数もどんどん増えているのです。
 私はこのパーキングパーミット制度の日本への導入を長年訴えてきました。そして一昨年からユニバーサルデザインの導入をお手伝いしている佐賀県で今年3月に完成した佐賀県UD推進指針の中でパーキングパーミット制度の導入を提案したところ、古川知事の絶大なる支持を受け、県庁の方達と検討を重ねた結果、日本で初めてのパーキングパーミット制度が完成し、導入が決定しました。佐賀県のパーキングパーミットは米国の制度を参考にして、身障者だけではなく高齢者や一時的障害者(怪我人や妊婦)にも一定期間パーミットを提供するユニバーサルな制度になっています。民間施設(店舗、ホテル、銀行、郵便局、結婚式場等)はいずれも協力的、特に大手スーパーやショッピングセンターは施設管理上一番悩ましい問題だったことから、非常に協力的でした。
 そして7月7日の古川知事の定例記者会見で佐賀県のパーキングパーミット制度の導入が発表されました。私としては長年の夢が叶って嬉しい限りですが、これはまだ入口の段階。この制度が日本中に波及して拡がることが最終的な目標です。身障者をはじめ歩行に問題のある方が駐車場の問題から解放され、いつでも快適に駐車できるようになることでアクティブに外出する方が増えたら日本の社会自体も元気になるのではないでしょうか。そうなったら嬉しい限りです。
 写真は左から、身障者用パーミット、一時的障害者用パーミット、専用駐車スペース用標識です。古川知事の記者会見はこちらで動画配信されています。古川知事のホームページではパーキングパーミットと私のことを書いていただいています。「週間yasushi」から「2006年7月」をクリックしてください。

佐賀パーキングパーミット(障害者用)space佐賀パーキングパーミット(妊婦・怪我人用)space佐賀パーキングパーミット標識



復帰後初の講演・日本社会福祉士会全国大会の基調講演
<2006年6月2日>
 癌の手術から復帰後初の講演は、昨年から依頼をいただいていた第14回日本社会福祉士会全国大会の基調講演になりました。大きな大会での基調講演。とても光栄に感じて大宮ソニックシティの大ホールのステージに上がりました。この講演の対象者は社会福祉士の方々。仕事で関わることはありますが、社会福祉士の仕事は私が関わる障害(児)者や高齢者に関わるものだけでなく、女性や生活保護など多岐に及び、私が関わっている分野だけではないのでお話しをいただいた当初は躊躇しましたが、私がサービスを受けている当事者であり、福祉機器の提供者でもあるということ。そして日米のリハビリを受けて両国で生活したことがあるという特殊な経験から社会福祉士の皆さんに役立つ情報もあるのではないかと考えてお話しさせていただきました。
 講演では、日米のリハビリの目的の違い、日米のソーシャルワーカーの違い、目先のことではなく、当事者の人生と可能性を信じて長期的な展望を見据えた対応の必要性、車椅子使用者でも元気な高齢者になれるという事、車椅子の違いで使用者の快適性や介護負担が大きく変わり、家族全体が健康で幸せになれるという事などについて私が関わってきた実例を使ってお話ししました。
 心配していた社会福祉士の方の反応でしたが、アンケートによると全体の84%が良かったと回答してくださったそうで、未記入の方も含めるとほぼ全員がプラスの評価をしてくれたそうです。「良くない」の回答がゼロだったそうで、事務局の方からは、千人以上の参加者のイベントとしてはすごいことだと思うとのお言葉をいただきました。癌の手術を受けて新しいスタートを切って初の講演が上手くいってとても嬉しかったです。

2006日本社会福祉士会全国大会基調講演1space2006日本社会福祉士会全国大会基調講演2



手術成功
<2006年3月23日>
膀胱癌の手術のため癌研有明病院に入院して3月23日に膀胱全摘と回腸導官によるストマ形成の手術を受けました。手術は大成功。再発の心配も転移の心配もないそうです。ストマによる排尿は慣れてしまえばとても簡単で日常生活にも支障はありません。体力の回復を待って水泳やダイビング にも復帰する予定です。オストメイトになったことで内部障害者4級に追加認定されました。これからは身体障害者だけでなく内部障害者の端くれとしても活動を報告していきたいと思います。
 癌が発見されたのは昨年の12月末のこと。尿検査の結果が悪くて再検査になりました。実はこの年の2月に癌の疑いがあると言われ、病院に入院して実際に内視鏡を使って細胞を採取して検査をしました。その結果、癌ではないということで安心していました。その後3ヶ月ごとに尿の検査と診察を続けました。12月のエコー検査では膀胱も左の腎臓も良い状態だと言われて安心して帰ったのですが、年末に病院から尿検査の再検査の連絡が届き、正月開けの尿の細胞検査の再検査によって膀胱癌が発見されました。内視鏡で確認しても確かに膀胱癌が拡がっていました。なぜそれまでに発見されなかったのか疑問です。
 紹介状を手に癌研有明病院に。とても素晴らしい泌尿器科の先生でしたが、2つの病院でセカンドオピニオンをいただくことをお話しして、平行して検査を行いました。またこの期間に友人である、医師、看護師、理学療法士などの専門家から適切なアドバイスがもらえたことは本当に私の気持ちを明るくしてくれるとともに手術を受ける決断をするのに役立ちました。最終的に膀胱全摘と回腸導官によるストマ形成の手術を選択し、ストマの形成をはじめ膀胱の手術に素晴らしい経歴をお持ちの癌研有明病院泌尿器科部長の福井先生に手術していただくことを決定しました。
 3月20日に入院して23日に手術が行われました。手術では前述の他に以前から機能していなかった右側の腎臓、そして前立腺も摘出することになりました。その結果手術は9時間の大手術になりました。しかし術後の経過はとても良く、病院のETナースや看護師の方がストマに関する専門的なアドバイスをくれたので退院時にはストマの交換も問題なくできるようになりました。退院後は、手術前のように活躍できるようになることを目標に今回の手術を選択したのですから、がんばってその成果を皆様に見ていただきたいと思います。

2006入院中のベッドでspace入院中に車いすで中庭に



佐賀UDとラジオ出演2006春
<2006年3月14日>
 昨年一年間お手伝いしていた佐賀ユニバーサルデザイン推進指針が完成したのを機会にまた佐賀県に行ってきました。今回は県庁で広岡会長が指針を古川知事に提出した後に推進指針検討状況知事報告という形で知事から4人の委員代表に質問があり、お話しすることができました。以前お会いした時と同様、我々と同じ目線でお話ししてくださる知事はとても親しみやすくて私の緊張もすぐにほぐれました。佐賀県の方に対しては地元の言葉を使って話されているのはとてもいい感じでした。
 その後、古川知事の依頼で知事が古川康個人として毎週土曜日に放送しているラジオ番組「Break!」に出演するために収録場所に向かいました。びっくりしたのは、私の乗り込んだタクシーに知事が一緒に乗ってこられたこと。番組の前にも話がしたかったから、と言っていただき、本当に色々な話をしながら収録場所のレストランに着きました。そのおかげで番組では充分リラックスして話すことができました。知事が私との出会い(私が編集長をしていた雑誌を読んだ時の話)をお話しされ、そこから私が佐賀県のUDをお手伝いするようになった話。さらには私の会社のことやシーティング、そしてパラリンピックやダイビングまで、20分弱の番組なのに盛りだくさんのトークで楽しい時間でした。収録終了後にはそのレストランで美味しい中華料理を食べながらさらにお話をさせていただきました。佐賀県のUD化の話は特に盛り上がりました。とても楽しい時間で、古川知事への親近感と佐賀県をお手伝いしていく気持ちが一段と強くなりました。
 昼食後は知事とお別れして県庁の方達と合流し、建物のUD化チェックをしました。その後県庁に戻って県庁舎の案内サインとこれからのUD化についてミーティングをしました。私がお手伝いした県庁の新しい身障者用駐車場も見ることができました。とてもよくできていました。朝一番の便で来て、最終便で帰るまで、盛りだくさんの1日でしたが、知事との楽しい時間もあり、充実した佐賀での1日でした。
 このラジオ収録や私に関わる話を古川知事のホームページで取り上げていただいています。After the BREAK!から2006/04/01をクリックしてください。

2006古川知事のラジオ番組に出演space2006古川知事



山口アビリンピック2005
<2005年10月28〜30日>
 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の下見も兼ねて山口県で開催されたアビリンピックと技能五輪全国大会の国内初の合同開催大会の視察に行って来ました。障害者の職業技能を競うアビリンピックは23種目の競技を全国の都道府県から集まった266人の選手によって大会が開催されました。
 アビリンピックには脊髄損傷者をはじめとする車椅子使用者、脳性麻痺者を中心とした歩行可能な障害者、視覚障害者、聴覚障害者、そして知的障害者が全国から参加していました。障害によって参加種目の傾向があり、車椅子使用者は座ってできるコンピューターや精密機器組立など、聴覚障害者は歯科技工に多く参加していました。コンピューター関連種目に参加していた視覚障害者は、特別な周辺機器を使うことで高い能力が発揮できることを証明していました。フラワーアレンジメントに参加していた視覚障害の女性もいました。知的障害者は縫製や木工など実際にものを作る種目はもちろん、喫茶サービスの実演を実際のお客さん相手に行ったり、パソコンデータ入力などの情報技術系の種目にも参加していて、その技術力の高さに驚きました。ここまで高いレベルの仕事ができることをもっと多くの企業の人事関係者や就労関係の方達にぜひ見てほしいと思いました。特に障害者の雇用に躊躇している企業の人事部の方にはぜひ観戦していただきたいです。ステレオタイプが崩れて考え方が一気に変わるでしょう。
 来年香川で開催される国内大会を経て再来年に静岡県で開催される国際大会には海外からも多くの優れた選手が集まるので、できる限り多くの方たちに観戦に来てしていただきたいとです。選手としての参加もまだ間に合います。競技種目や参加方法など詳しくはこちらから。(写真左はワードプロセッサー競技、右は知的障害者のパソコンデータ入力を含んだデータベース競技)

アビリンピック2005ワープロ競技spaceアビリンピック2005データベース競技



山口技能五輪2005
<2005年10月28〜30日>
 昨年から委員になり、現在は財団の常任理事も務めることになった2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の下見を兼ねて、山口県で開催されたアビリンピックと技能五輪全国大会の国内初の合同開催大会の視察に行って来ました。障害者の職業技能を競うアビリンピックは23種目、21歳以下の健常者の職業技能を競う技能五輪は43種目の競技が行われ、全国の都道府県から集まった1,364人の選手によって大会が開催されました。
 未だに一般的には広く知られていない技能五輪とアビリンピックですが、初めて観戦した大会は本当に感動的でした。熟練した技による熱い戦いが繰り広げられ目が釘付けになりました。技能五輪では参加している若者の技能の高さと専門知識、そして真剣さに感動しました。多くの人が持つ21歳以下の若者のイメージは、コンビニや渋谷などにたむろしていて目的も持たないといったものです。マスコミがそのような若者を多く取り上げたことで作られたイメージでしょう。しかし自分の中にあったステレオタイプのイメージは技能五輪で競い合う選手の姿を見て完全に覆されました。
 私の観戦した石工や庭園の競技では職人肌の青年たちがものづくりの技を競い合っていました。自動車メーカー等の企業が多くの選手を送り込んでいた電子機器組立競技では彼らの専門知識と技術力の高さに圧倒され、企業のロゴを背負って戦う彼らの姿はとてもかっこよかったです。女性が中心の洋裁や和裁でも彼女たちの専門知識と技が光っていました。若い女性が武道場の畳の上に座って着物を仕立てる和裁競技では、伝統の技術と技に感動しました。予想を何十倍も上回る感動!実は全く予測していませんでした。実際に大会を見るまでは解らないでしょう。この大会を一人でも多くの人達に見ていただき、この感動を味わっていただきたい。最近の若者にもこのような素晴らしい技術者や技能の継承者がいることが分かると日本の未来がとても明るく感じます。(写真左は柔道場で行なわれた和裁競技、右は専門学校生中心に戦われた洋裁競技)

技能五輪2005和裁競技space技能五輪2005洋裁競技



Medtrade2005
<2005年10月18〜20日>
 今年も例年通り10月に米国の福祉機器展メドトレードが開催されました。今年の開催地はアトランタ。初めて直行便を使って出張しました。毎年この展示会では展示に加えて様々な講習会が開催されるので楽しみにしているのですが、今回は取引先との会議がびっしりとスケジュールされていたので、毎日ひとつずつ早朝の講習会に参加しました。今年受講したのは「シーティングにおける快適性」、「マット評価」、「障害児の早期シーティング」。どのセミナーでも新たな発見や自分の知識の再確認ができてよかったです。
 初日などは会議が5つもあったので、展示会場を見ることもできませんでしたが、2日目には時間を作ってまず取引先のブースを回って新製品の説明を受け、3日目にはその他のブースも回ることができました。今年はどの取引先も多くの新製品を発表していたので、来年は日本でも新製品ラッシュになりそうで楽しみです。
 サンライズメディカルは新しいコンセプトの電動車椅子と手動車椅子そしてシーティング・システムを発表。ブースの中央に仮設の家を作ってその中で重度障害者が環境制御装置を駆使して生活するシミュレーションをデモしていました。(写真左)タイライト社も多くの新型車椅子を発表。(写真中央は会場外に駐車していたタイライト社のトレーラーの前で社員と)圧分布測定器のXセンサー社も最新のモデルを発表。これらの優れた新製品を日本に紹介できる来春がとても楽しみです。(写真右は最終日の打ち上げで行ったシュラスコのお店で)

2005Medtradeブースspace2005Medtrade記念写真spaceシュラスコ



国際福祉機器展・HCR2005
<2005年9月27〜29日>
 今年もHCRが東京ビッグサイトで開催されました。今年も週末の開催は実現されませんでした。毎年訴えていることですが、海外の福祉機器展のように週末に開催して、働く障害者が会社を休まなくても見にこられるようになることを切望します。
 今年も私は毎日セミナーの講師を務めました。初日は障害児の二次障害防止のためのシーティング、2日目は車椅子による褥瘡予防と再発防止、そして最終日はスタンディングの効用についてお話ししました。どのセミナーも満員になり、特に障害児のセミナーと褥瘡のセミナーは、立ち見のスペースどころか、床に座るスペースもなくなるほどの大盛況。(写真右)とても嬉しい状況でしたが、会場に入れずにお帰りになった方も多かったので、同様のテーマのセミナーを今後も多数開催していく予定です。普及活動をはじめてから今年で12年目を迎えたシーティングに対する関心の高まりに大感激。これからも更なる普及と車椅子を使用される方の問題解決のために尽力していく所存です。
 今回もアクセスのブースは海外の輸入元との合同ブースになり、海外の担当者が多数来日して、ブースを手伝ってくれました。昨年とても好評だった「シーティング体験コーナー」を今回も提供して、多くの方にシーティングによる姿勢の変化を体験していただきました。さらに圧分布測定器で座圧を測って実際に圧のかかっている箇所について視覚的に確認していただいたり、スタンディングを試していただいた方も多かったです。私のテレビを見たりラジオを聴いてブースを尋ねていただいた方もとても多く、嬉しい悲鳴でした。多くの方に興味を持っていただき、休む時間もないほどの大盛況ぶりに大感激の3日間でした。ブースにおいでいただいたみなさん。本当にありがとうございました。

HCR2005スタッフspaceHCR2005セミナー



テレビ放映、ラジオ放送
<2005年9月3日、5日、20日、21日、24日、26日>
 7月に収録したNHK教育テレビの福祉番組「きらっといきる」が放映されました。9月3日の本放送と5日の再放送の後には、全国から多くのメールや電話そして手紙でシーティングの依頼が届きました。メディアの力に改めて驚くとともに、日本全国にはまだまだ多くの障害者や高齢者が車椅子の問題で悩んでいることも再認識しました。私に加え、東京と大阪のスタッフ総動員で問い合わせに対応し、多くの方にシーティングを処方しました。そして多くの方たちの姿勢を改善することができ、みなさんに喜んでいただきました。この喜びが私たちのやり甲斐になり、更なる意欲が生まれてきます。
 テレビの余韻も冷めやらぬ20日と21日には8月に収録したラジオの放送がありました。とても朝早い時間にもかかわらず、多くの方に聴いていただき、またまたメールやお電話をいただきました。シーティングについてもお話ししたので、シーティングの依頼もさらに増えました。
 さらに24日と26日には「きらっといきる」が再放送されたのです。またまたメールなどでの依頼が届いたのでラジオを聴かれた方かと思ったら再放送されたということを知ってびっくりしました。こんなに早く再放送をしてくださって嬉しいです。このような大きな反響をいただいたことを胸に、これからも車椅子や姿勢に関して問題を抱えている方の問題解決をお手伝いして、痛みや二次障害を防止して、元気に車椅子で活動できる時間を延ばし、自立度を向上することで介護や介助の軽減を達成して多くの方に喜んでいただきたいと思います。


2005NHK「きらっといきる」テレビ出演



第22回日本身体障害者水泳選手権大会
<2005年9月17〜18日>
 春にスタートした身障者の水泳のシーズンは、6月の関東大会、7月の東京大会、8月のジャパンパラリンピックを経て9月の日本選手権で幕を閉じます。今年の日本選手権には、全国から44のチームに個人参加者を加えた348人が参加して、神戸のポートアイランドスポーツセンターで開催されました。今年はジャパラの出場を見合わせたので、私にとってこの大会が唯一の全国大会となりました。今年は仕事との兼ね合いで100m出場のための泳ぎ込みは無理だと判断して50mに絞って練習し、平泳ぎに加えて自由形にも参加しましました。
 平泳ぎの招集に行くと、いつも大会で対決するK君の負傷による棄権を知りました。唯一競い合える相手の不参加で、異なったクラスの選手たちも参加していた私の組では2番の人に30秒以上もの大差を付けてのフィニッシュ。タイムをチェックすると58秒31。今年の目標だった60秒は切れましたが、あと1秒で大会記録だったと知って、残念でした。
 次に行われた50m自由形では驚異的な37秒台の記録を持つ兵庫県のKさんと対決。予想通りぶっちぎられてしまいましたが何とか2位を確保。レース後、私は平泳ぎに参加した人からアドバイスを求められ、私は自由形のKさんからアドバイスをもらいました。このような交流もいいものです。大会の進行表に添付されていた大会記録を見ると短水路の50mと100mの平泳ぎは10年前の私の記録がまだ残っていました。50mの51秒61はもう自分でも破れない記録かもしれません。早く新しい選手が登場して活躍してほしいので、そのためのお手伝いができたら嬉しいです。特に脊損で水泳、それも平泳ぎをやりたい人はぜひご連絡ください。
 水泳を再開してから体力と持久力が復活して、すこぶる健康なので、今年のシーズンオフも水泳を続けてコンディションを落とさずに来シーズンに備えたいと思います。

2005日本身体障害者水泳選手権大会(神戸)



ラジオ収録
<2005年8月31日>
 NHKラジオの「ラジオ深夜便・こころの時代」から出演依頼をいただき、8月31日に東京のNHKで収録を行いました。放送は9月20日と9月21日。放送時間は「ラジオ深夜便」の1コーナーとして放送されるため、午前4時台に40分程ということです。
 「こころの時代」には、今から8年前の1997年の8月にも出演させていただいています。当時は、バルセロナパラリンピックの選手を経て、日本初の身障者のためのスポーツ情報雑誌だった「アクティブジャパン」の編集長をしていた時でした。一般的に全く知られていなかった身障者スポーツが、やっと認知され始めた時だったので、身障者の自立とスポーツについてお話ししたように覚えています。放送の4年後、今から4年前の2001年には、再放送としてもう一度放送していただきました。
 今回は、2日連続で出演させていただくことになったので、1日目には私自身の米国での体験を中心に日米のリハビリや身障者に対する考え方の違いについてのお話。2日目には日本に帰国してからの様々な活動を中心にお話ししました。シーティングやユニバーサルデザインについても少しお話ししています。
 写真は収録後に番組のパーソナリティの河村陽子さんと一緒に撮った写真です。

NHKラジオ「ラジオ深夜便・こころの時代」出演



インドネシア・メナド・ダイビングツアー2005
<2005年8月14日〜20日>
 今年の夏休みは、インドネシア・スラウェシ島の北東部にあるメナドへのダイビングツアーに参加しました。ボルネオ島(インドネシア語ではカリマンタン)の北西部にあるシパダンには2年連続で行って、とても楽しいダイビングを楽しんできたのですが、だんだん観光客も多くなり自然も破壊されてきたので、もっと自然が残されていて魚の多い場所で潜りたいと、色々考えた末の結論がメナドでした。スラウェシ島はボラカイ島の東に位置しており、今回はクアラルンプール経由ではなくシンガポール経由で行ってきました。
 メナドでは、新しくできたばかりのリゾートに泊まり、写真のメナドトゥアとブナケン島周辺の大好きなドロップオフでのダイビングを毎日楽しみました。メナドは透明度も良いので豪快なドロップオフの地形がよく見えてとてもダイナミック。潜った8本すべてが楽しくて快適なダイビングでした。魚の群には圧倒されるばかり、マクロ系の生物の写真もたくさん撮ることができました。さらに詳しいメナド・ダイビングツアーのレポートはこちらから。

2005インドネシア・メナド・ダイビングツアー



久々のテレビ番組収録
<2005年7月9日>
 NHK教育テレビの福祉番組「きらっといきる」から出演を依頼していただき、6月の最終週から撮影をしていましたが、この土曜日に大阪のNHKでスタジオ収録を行い、番組が完成しました。放送は9月3日の午後8時。再放送が9月5日の午前5時30分です。
 私自身のことではなく、私がライフワークとして取り組んでいるシーティングを取り上げていただいて、シーティングの普及に繋がり、車椅子上の姿勢で悩んでいる方たちに情報が提供できれば、ということでお受けした番組出演でしたが、ディレクターのMさんが詳しくシーティングについて勉強して、密にコミュニケーションをとって作ってくれたので、とても良い番組ができあがったと思います。実際にシーティングをする場面でモニターになってくださったタマキさん、シーティングの成功例として出演してくださったアスカさん、その他多くのみなさんにご協力いただきました。ありがとうございました。
 スタジオではMCのジェフさんと小林さんの質問に答えたり、車椅子の牧口さんに実際に体験していただいたシーティングについてお話ししました。実はこの番組の顔でもある牧口さんとは1996年に「未来の車椅子」というシンポジウムでパネリストとしてご一緒して以来の再会でした。
 後から考えるともっと詳しく説明すればよかった、あれも言えばよかったと悔やまれる面もありますが、専門家向けではなく障害を持った方自身に見ていただくのと、時間の限りもあることなので、あとは編集にまかせて放送を楽しみに待ちたいと思います。
 写真は収録後に番組のパーソナリティの方たちとディレクターのMさんと一緒に撮った記念写真です。

NHKテレビ「きらっといきる」スタジオ収録風景



水泳シーズン、スタート!
<2005年6月19日>
 一昨年から自分の健康とスクーバダイビングの基礎体力づくりのために再開した水泳ですが、毎年秋の日本選手権が終わると、仕事が忙しいことを理由に泳ぐ機会がなってしまいます。毎年、春になると関東大会にエントリーすることで自分にはっぱをかけているのですが、30代までは1ヶ月も練習すれば元に戻った体も40代をすぎると戻りが遅くなり、特に昨年は東京大会の後に足の指をケガしてジャパンパラリンピックはドクターストップ。その後の日本選手権も日程が国際福祉機器展の翌日ということで出場を断念。泳いでいなかった期間が長かったため今年は体を戻すことが大変で、とても長い時間がかかりました。「間を空けると大変だから泳ぎ続けた方がいいよ」と知人の水泳コーチにアドバイスをもらいました。
 そんな中での関東大会、今年は埼玉の障害者交流センターで開催されました。今年はジャパンパラリンピックには出場しないことにしたので、9月の日本選手権の標準記録突破を第一の目標としました。練習不足でタイムは満足のいくものではありませんでしたが、標準記録はクリアすることができたので、これからも定期的に泳いで日本選手権を目指しながら体づくりと健康維持を行いたいと思います。
 今大会で、競泳を始めた頃の自分を思い出す出来事がありました。一緒に50m平泳ぎに出場した、まだ競泳を始めて間もない青年が、平泳ぎのテクニックを教えてほしいと私に話しかけてきたのです。私自身18年前に初めて出場した日本選手権で対戦して完敗した高須さんという選手にアドバイスをいただき、彼を目標にして頑張った結果が多くの大会での優勝やパラリンピックでの入賞に繋がったと思っています。私も話しかけてきたH君にその場でいくつかアドバイスをしましたが、今後も引き続きアドバイスや指導を行って、彼が私の記録を破るような選手になり、パラリンピックに出場できるようになるまで手伝えたら嬉しいです。

関東身体障害者水泳選手権大会(埼玉)



シーティング新製品研修
<2005年6月6〜9日>
 昨年、クイッキーやジェイの親会社であるサンライズメディカル社がシーティング部門の強化のために吸収合併したシーティング製品メーカー3社の日本総代理店としてアクセスインターナショナルが活動することになり、新たに扱う製品についての研修のため、シアトルに行ってきました。研修初日はモールド型シーティング・システムのリハビリテック社の製品についての研修でした。全く新しいコンセプトのモールド型シーティング・システムは素晴らしいの一言に尽き、今までに対応できなかった重度の変形のある方にも快適で自立を支援できるシーティング・システム提供できると確信しました。私自身日本での発売が待ち遠しい製品です。既にこの製品を提供したい方が何人も頭に浮かんでいます。
 2日目は米国のカスタム・シーティング・システムのメーカーとしては最大手のAES社の製品トレーニング。こちらの製品は細かいカスタム対応が可能なため、これまでのジェイのシーティング・システムでは対応しきれなかった細かい個別対応が可能になり、我々が提供できるシーティングの幅が大きく広がりました。こちらも待ち遠しい製品です。
 3日目には、工場見学に加え、元々我々が代理店をしていましたが、今回の合併でサンライズ・グループの一員になったヘッドサポート製品のトップメーカー、ウィットマイヤーバイオメカニクス社の製品とジェイ製品についての会議や研修を行いました。今回の研修を終えて、サンライズメディカル同様、我々も日本で障害児から高齢者、軽度から超重度まで、すべての車椅子使用者に対応できるシーティングを提供できるようになったと確信しました。日本の皆様に製品を提供できる日が楽しみです。ご期待ください

米国シーティング研修



ブライアン・アダムス
<2005年4月27日>
 主治医のM先生がブライアン・アダムスのご両親とお知り合いということで、日本公演に招待され、私も連れて行っていただきました。大学留学中によくラジオで流れていたブライアン・アダムスの曲は帰国後もよく聴いていたし、CDもたくさん持っているのでお誘いを受けて大喜びでした。会場に到着し、VIP席に案内されましたが、もちろんそこは車椅子対応ではなく、いつも使っている車椅子席に移動しました。まだ日本には車椅子のVIPはいないのか?
 車椅子席に着くと、友人の岡部くんを発見!私の大好きなイラストレーターとして、このホームページでも紹介したことのある彼は、収入のすべてをコンサートに使っているのではと思うほどのロック大好き青年。C4の頸髄損傷ながら、ヘッドコントロールで電動車椅子を操って電車に乗り、大好きなロックのコンサートがあれば一人でどこにでも出没しているのです。
 そしてコンサートがスタート。内容は想像を遙かに超えて盛り上がりました。彼の分かりやすい楽曲は日本人にも歌いやすいのでしょう。会場全体が何曲も大合唱したコンサートは、今まで体験したことがありませんでした。さらにアンコールを2回。そして最後には一人でステージに登場して数曲を歌ってくれました。大満足です。
 コンサート終了後、ブライアン・アダムス本人と一緒に写真を撮ることができました。こちらも良い思い出になりました。ブライアンと私は同じ年だそうです。

ブライアン・アダムスと記念写真



流氷ダイビング2005
<2005年3月5日>
 今年で3年連続となる流氷ダイビングのため北海道・知床半島の宇登呂に行きました。今回は今までで最も温かかったため、網走では流氷が溶けたり沖に流れてしまっていましたが、宇登呂にはしっかりとした流氷がありました。ダイビング当日は晴天で気温も0度と温かかったので、とても快適に流氷ダイビングを楽しむことができました。1月に積丹半島の先端で野生のトドと潜った海獣ダイビングの時の悪天候(暴風雪と荒れた海)に比べれば流氷ダイビング環境はプールのように穏やか。氷点下2°の水温に対しても、今までの経験からドライスーツの下に着るインナーを工夫し、カイロを使い、ドライフードとドイミトンに加えて唇と頬を保護するリップガードを使うことで、とても快適に潜ることができました。今年はクリオネが少なかったのが残念でしたが、流氷下で初めて見つけたウミウシやハナジロガシ、エゾクサウオ、ベロ、ウリクラゲ、ヒダベリイソギンチャクなど多くの水中生物の写真を撮ることができました。今回のツアーは旅行記にしませんでしたが、2003年と2004年の流氷ダイビング旅行記はこちらの旅行記のページからどうぞ。
 今年のように流氷が少ないのは地球温暖化が原因だと言われています。こんなに素晴らしい流氷が日本に来なくなってしまったら悲しいことです。楽しい流氷ダイビングでしたが地球温暖化についても考えさせられた3度目の知床でした。

2005流氷ダイビング



ATセミナー
<2005年1月25日>
 大阪で、コミュニケーションとシーティングのセミナーを開催しました。障害を持った方が、コミュニケーション機器などのAT機器を使用するためには車椅子上での姿勢が大きく影響することはセミナーでいつもお話ししていますが、今回はまさにそのテーマで、コミュニケーションとシーティングのセミナーを統合した形で開催しました。午前中にコミュニケーションエイドの基礎、午後からシーティングの基礎についてお話しした後、シーティングとコミュニケーションエイド・フィッティングの実際と題して、シーティングとコミュニケーション機器を使いこなしている脳性麻痺のS君にデモンストレーションをしてもらいました。
 S君は脳性麻痺で、四肢麻痺、言葉をしゃべることもできない障害です。しかし頭脳明晰で、身体の中で唯一随意に動かすことができる腿の内側でスイッチを押すことでコンピューターやコミュニケーション機器を見事に扱うところを披露してくれました。シーティングの施された車椅子を使うようになって、姿勢が崩れたりしなくなり、疲れなくなってコンピューターを使える時間も延びたそうです。今回は、そのスイッチでキネックスというソフトを使って自分でパワーポイントのプレゼンテーションを作成し、なぞなぞを出題したり、学校で発表した夏休みの自由研究を発表して見せてくれました。
 参加者の方たちはとても感心していましたが、電動車椅子に初挑戦したときのビデオにはさらに感心していたようです。前述のスイッチを押すことで、特殊コントロールのひとつであるシングル・スキャンという方法を使って電動車椅子を動かしています。方向を設定して進むという形で、先生が用意したスラロームのようなコースを自在に動き回る姿は凛々しささえ感じられました。
 今回協力してくれたS君のデモンストレーションは、どんな障害があっても適切な機器を使用すれば可能性は無限大に広がることを教えてくれました。さらに適切なシーティングによって活動時間は延び、二次障害を予防して健康に生活していけることを示してくれたと思います。
 今回のセミナーにはS君のお母さんにも登場していただいて、話していただきました。数年前から存じ上げているお母さんが彼を信じる気持ちの強さが今のS君を創り、将来のS君を支えていくのだということが強く感じられました。これからも、このようなセミナーを行って第2第3のS君やS君のお母さんをサポートして行きたいです。

2005ATセミナー1 space 2005ATセミナー2



2005国際シーティング・シンポジウム
<2005年1月20〜22日>
 今年も国際シーティング・シンポジウムに参加してきました。今回で21回目になるISSは、フロリダ州オーランドで開催され、朝から晩まで様々な講習が行われ、シーティング関連製品の展示会も同時開催されました。カナダとアメリカを中心に世界中から多くのPT、OTを中心とするシーティング関係者が参加して勉強していました。これまでもプレシンポジウムでは半日や丸一日のコースがありましたが60分や90分のコースが中心でした。しかし今年は4時間コースと2時間コースが中心になり、内容も濃いものになっていました。
 今回私が受講した中で特に勉強になったのは、圧分布測定器を使って褥瘡予防や再発防止を行ったりシーティングに活用するプレッシャーマッピングのコース。私は2つの2時間コースを受講しましたが、特に圧分布測定の臨床プロトコル(手順)についての講義はとても役に立ち、実際に現場で使っていただける技術なので日本でも広めて行きたいと思いました。
 今回は講義に加えて多くの取引先との会議や商品トレーニングに追われる毎日でした。昨年ジェイの親会社であるサンライズメディカルがシーティング事業の強化のために、シーティング関連企業3社を傘下に収めたので、製品のラインナップが広がり、提供できるものが増えて嬉しいのですが、覚えることも多くなってたいへんでした。写真は初日のキーノートスピーチの様子です。

ISS2005国際シーティング・シンポジウム



海獣ダイビング
<2005年1月8〜9日>
 2003年、2004年と続けて北海道・知床半島の宇登呂に行って流氷ダイビングを楽しみました。今年2005年は積丹半島の先端にある幌武意に行き、アクアキャット主催の野生のトドと潜るダイビングに挑戦してきました。日程中ずっと天気は雪。ダイビング当日は大雪と高い波により、トドのいるマッカ岬に船を出すことができず、湾内で調整ダイブをして翌日に期待。2日目には海況が少し回復したことで出航でき、マッカ岬のトドのいるポイント近くに潜ることができました。潜降して岬の先端方向に進んで待っていると、突然体長2.5mほどのメスのトドが出現、我々の周りを泳ぎ回ってくれました。感動!!その後も2度戻ってきて最短3mの距離まで近づき、左右のヒレで体を揺らしたり回転して泳ぎ回る姿を存分に見せてくれました。その後エントリー地点の方向に戻ってホテイウオなどを見ていると、今度はオスのトドが出現して近寄ってきてくれました。1ダイブで2頭のドドと遭遇することができて大感激!その日の2本目のダイブがマッカ岬の近くまで船で行きながら、海と天候の悪化のために中止になったことを考えると、1本目にドドが見られて本当にラッキーでした。氷点下5度という気温と横殴りの雪という今までで最も過酷な状況の中、海も荒れ、流れやうねりもありましたが、トドと水中で会えたことで積丹半島の先端まで行った甲斐がありました。思い出に残るダイビングでした。さらに詳しい海獣ダイビングのレポートはこちらから。

2005海獣ダイビング



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